7−3.神との対話


1.神との対話-1

 その少年は、あの少年と同じ顔をしている。

「僕の名前?いろいろあるよ。アシャって言う人もいたしエーン=ソーフって言う人も、あと"法の神"とか言う人もいたな。
 でもどれも嫌だな。うーん・・・・・・決めた!
 僕の名前は今日からジェシーにする。いいね?
 おまえたちは僕のことをジェシーって呼ぶんだ。」

「僕の計算だとあと正確に647年後にユルセルームは消滅することになっているね。」

「あいつらは僕の計画を邪魔しようとするから罰を与えてやったのさ。」

「どうしてこの世の全ての生ける者は他者を喰らうことによってしか生きてゆくことができないのだろう。
 僕はいい加減もううんざりだよ。
 この世は醜い。どうしようもなく醜い。
 だからいっそのこときれいさっぱりと全てを消し去った方が美しくなるじゃないか。
 君はかつての仲間を喰ってしまうという過ちを冒しておきながらそんなことを言う権利があるのか?
 君は「カルマの森」が何故「カルマの森」と言ったのか、その森に現れた精霊がどういうつもりで蜂蜜の瓶を君にくれたのか、真剣に考えたことがあるか?
 君はこれまでに喰った生き物の数を覚えているかい?
 ・・・・・・それほどこの"業"は深い。もはや弁明の機会を与える気すら起きないね。
 どうして僕がそんなことをしなくちゃあならないんだ?
 だいたい世界っていうのはあいつらだけのものじゃないだろ?
 どうしてデュラを滅ぼさなくてはならないんだ?あいつらだって少なくとも『哀れみ』の心は持っている。
 それにデュラにいる連中がみんな悪いなんて誰が決めたんだ?
 みんな勝手だよ。さんざん自分らで勝手に悪いことをしておいて、こういう時だけ助けてくれなんて虫がよすぎるとは思わないか?
 だから僕も勝手に『こうしたら世界がきれいになる』と思うようにやってるだけさ。
 こんな所まで押し掛けてきて、まあご苦労様ぐらいのことは思うけれども君らの願いを聞こうとか手助けしようなんてことはこれっぽっちも思わないね。」

ファラノウムでもらった書状を渡すと、紙をビリビリと破ったり、飛行機にして飛ばしたり、焚火にして燃やすなどする。

「こんなに紙切れを持ってきてくれちゃあ、どう使ったらいいか困るなぁ。 君らも一緒に飛行機を作らないか?楽しいぜ。」

「どうしてあなたは僕の心臓を食べたんだい?信じられないな。
 もっと他に、僕の命を救うために何とかしようと考えなかったのかい?
 そんな風にして人を犠牲にして、自分だけ生き延びて、あなたは自分のことを汚いとは思わないか?」


◆論点

 ここでの論点は、ひとの“業”に関することです。
 ひとが何かを得るためには常に何かを(意識しているしていないに関わらず)犠牲にしている。
 ただ単に“生きる“ためにさえ、自分以外の多くの命を犠牲にして“生きる”という事が成り立っている。
 神の主張は、「それは醜いことだ」「それは嫌だ」と思っており、「すべての生けるものに対して等しく接しようとするのであれば、すべてを等しく滅ぼしてしまうのがもっとも公平で正しい」と考えています。
 PC/PLは、これを論破しなくてはなりません。

※神を論破できなければ先に進んではなりません!


2."樹"との対話

 神を論破すると、次に彼は“樹”と対話するように言います。

 黄金の葉を繁らせる"樹"に触れた者は全員「金・樹」のイメージを得る。
 光る女の精霊の影が現れる。

「私の名はヴァレリア。」

「あなた方はここまで来るのに途方もない苦労を 重ねられたはずですね。
 そしてこの世はどうしようもなく醜く、いかにあがいても結局どうにもならないことがわかったことと思います。
 本当にそんなに苦労してまでこの醜い世界を存続させる必要があると思うのですか?
 少なくとも私はこれ以上この世界に染まって醜くなりたいとは思いません。
 ・・・・・・もう、やめましょうよ。
 そうまでして守らなければならないようなものがこの世に存在するとでも思っているのですか?
 (笑う)・・・・・・面白いことを言う人ですね。
 では試しに聞いてあげましょう。
 それはいったい何なんです?」

「では聞きましょう。
 なぜそれ程までにそのものを守らなくてはならないのですか?
 そのわけは?
 そのことにいったいどんな意味があるというのですか?」


◆論点

 こちらの論点はごく単純で、「戦う理由」を聞いています。
 その理由が普遍的かつ個人的なものであり、その論があなたの情に訴えるものであれば納得してあげて良いでしょう。

※“樹”を論破できなければ先に進んではなりません!


「・・・・・・では、私はあなた方について行くことに決めました。
 ただし何も手助けはしません。
 ただあなた方について行き、側でその行動を見させてもらうだけです。
 ぜひ、その決意の堅さを実際に見せてください。」

 樹の金色の輝きが消え、目の前にギザギザの刃の剣が出現する。
 「美麗」のRRで最も高い値を出した男性キャラが持つことができる。

◆ヴァレリア(剣):ダメージ:10D6


3.神との対話-2

「さあ帰った帰った。おまえたちは目障りだから、どっか僕の目の届かないところに行ってもらおうかな。
 え?ヴァレリアも行くって?本当?
 うーん、じゃあしょうがないな。
 彼女に免じてどこに行くかだけはおまえたちが決めていいことにしようか。
 どこに行きたい?」

「ファラノウムに行きたい?じゃあいいよ。
 そこに戻してあげよう。」

(実は、彼はPCらをファラノウムに戻すことに最初から決めている。選択の余地はない。)


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