6−2.死との対決


1.エルダの森へ

 1ヶ月程かかる。特に何もなし。


2.森にて

 一本道。 「ここから先は一本道で、エンダルディウムまで ずっとまっすぐ行くことができます。」


2―1.「S22."一本道の精霊"レンリノウマ」

 (1D6日後)レンリノウマと出会う。左から振り向く。(放っておくとしばらくRRの際のゾロ目はすべてファンブルになる。)
 「霊感」のRR35以上で追い抜くことができる。追い抜くことができれば逆にゾロ目はすべてクリティカルとなる。


2―2.「186."選ぶ指"ラウナク=ロウ」

 (さらに1D6日後)四辻でラウナク=ロウと名乗るローブを深々とかぶった老人と出会う。
 さまざまな質問をしてくる。

「この道をずっとやってきたのかね?」
「この道の途中で何かに出会わなかったかね?」
「道を途中で外れたりしたことはなかったかね?」

 何を答えても

「ほほぉ、それはそれは」

と答える。

「この道を戻る気はないかね?」

 YESならば「ほほぉ、それはそれは」と言う。
 さもなければ「ほほぉ、それならば」と言ってそのおぞましい正体を現す。
 突然、老人の両脇から二つの巨大な手が現れたかと思うと、相手の身体をつかみ、強力な力で老人の身体の方に引っ張る。老人は自分のローブの中に旅人を押し込もうとする。
 ローブの中には夜空が見える。
 最初の一人は「体力」「運動」のどちらかのRRで50以上を出さなければそのローブの中の異世界に送り込まれてしまいます。 無事一人中に送り込むとこう言う。

「わしは争いは好まない。おまえたちも来ないかね?ある者がそこで待っている。」

 少年が悲痛な顔をしながらこう言う。

「行かなければ、あの人は死ぬことになるでしょう。どうしますか?」
「行けば…(黙り込む)」

 制限時間は10分(リアルタイムで)。

 仲間が異界に飛ばされてから10分以内に駆け付けないと、その者は死ぬことになる。


2―3.ストーン=ヘンジ

 ラウナク=ロウの身体の中を通り抜けると、ストーン=ヘンジにたどり着く。
 美しい竪琴の演奏と歌が聞こえる(誰か一人のPCのみ「喜び」+3D10。)。
 たどり着くと、美しい女性が岩に腰掛けて銀の竪琴を演奏しているのを見つける。
 彼女は何も言わずあと9種の感情の演奏を聞かせてくれる(1曲ごとにPCの誰か一人の感情を3D10増やす)。
 一通り演奏し終えるとこう言う。

「これでやっとすべての感情を捨てることができましたわ。」

 全身に黒い毛が生え、巨大になっていく。
 そして気が付くと、目の前に漆黒の四足の獣が立っている。

「やっと会えたな。」

 時間に間に合わなかった場合、さらに言う。

「あれは、うまかった。おまえたちも奴と同じぐ らいうまそうだ。」

 口の端に血が付いているのに気付く(例のPCは残留思念と化している。)。

「さて、どいつから喰ってやろうか。」

 逃げようとすれば、一人殺してからこう言う。

「逃げられると思っているのか? あきらめろ。おまえたちに勝利はない。」

「俺は"死"そのものだ。いかなる者も"死"に打ち勝つことはできない!」

「さて、次に死にたいのはどいつだ?」

 やがて少年が言う。

「もうやめろ!おまえの望みは何だ?」

「俺の望みか?それは貴様の死とこの世の破滅だ。
 おまえたちには二つの選択枝しかない。
 その1:今、俺とここで戦い、全員が死ぬ。
 その2:他の者の命を助けてやる代わりに貴様がこの俺に喰われる。」

「俺はおまえの"真の名"を知っているぞ。」

「***(少年の"真の名")よ、"誓い"を立てろ。
 おまえに選択の余地はない。
 他の者の命は助けてやろう。
 そのかわりにおまえの命をこの俺に捧げ、その血と肉を喰われて死ぬことを誓うのだ。」

「・・・・・・"誓い"を立てよう。
 だがその前にせめて少しの時間でいい、待ってはくれないか。」

「だめだ。・・・・・・ いや、そうだな、取り引きをしよう。
 ("勇者"の方を見て) そこにいる精霊が俺に昔の名を教えてくれたら少しだけ待ってやってもいいだろう。
 どうだ?」

「俺はすべてを知っている。
 しらばっくれても無駄だ。
 グドルという名の商人が全部を俺に教えてくれた。」

(それでも拒否した場合。)

「・・・・・・では、そのガキをいただくとしよう。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここで、"勇者"が「昔の名」を答えた場合には
自分が獣に戻ってしまい、
かつての仲間にかかった呪いも解くことができなくなるということを確認してください。
それでも言うかどうかを選んでもらってください。


勇者が「昔の名」を答えない場合、
少年は獣に喰われて、 PCたちは神の国へ行くことができなくなります。
(世界を救うことはできなくなります)
それから、獣は他の者たちにも襲いかかってきます。何人かは死ぬことになるでしょう。
生き残った者がいる場合、世界が滅びるまでをプレイしていただいてもかまいませんが、
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勇者が「昔の名」を答えた場合、
声が聞こえます。

“・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  『第2の試練は成し遂げられた。』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 突如全てが静止し、頭上から光が降り注ぐ。
 光の中で、翼を持った人影が舞い降りてくるのが見える。
 人影はあなたに触れる。
 あなたの中の足りなかったすべてのものが満たされる。
 (残るすべての感情が覚醒する)

 …と気が付くと、辺りは元の風景に戻っている。
 あなたは、自分の手を見る。
 あなたは、『ひと』になっている。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”

(おそらく他のPCにとっては)見知らぬ人物が現れる。

獣は言う。

「なに?どういうことだ?
 ・・・・・・なるほど、またあの女か。チッ。
 (くやしそうに)しかし約束は約束だ。
 では、こうしよう。(適当に誰かを襲って)
 この者の血が全て流れ出し、その命がつきるその時まで待ってやろう。
 ただしそのガキは人質だ。
 俺の目の前から離れてはならない。
 選択の余地はない。」

(犠牲になったPCの「生命値」は時々刻々と減っていく。)

少年は言う。

「皆さん、この状況を打破する唯一の方法があります。
 ここからあちらにしばらく行ったところに神殿があります。
 そこにランプのイメージが見えるのです
 ・・・・・・銀の髪飾り(※)が必要です・・・・・・
 あとは行けばわかるでしょう。さあ走りなさい。
 急がないと間に合わない。」

「(ブルブル震えながら)母さん(父さん)・・・・・・(と、自分を育ててくれたPCに抱きついてくる)」

※銀の首飾り
 アララテ山で手に入れることができた物。PCたちはちゃんと持ってますか?


2―4.叡智の神殿

 (全力で走り、さらに「体力」のRR30以上出してやっと着くことができる。)

 祭壇。中はひんやりとしている。
 小さな祭壇があり、上から光が降り注いでいる。
 光の中に青白く光る宝石(「オーロラの瞳」。氷。)が浮いている。
 祭壇の向こうの壁に「神の名を唱えよ」と書いてある。
 銀の髪飾りに宝石をはめ、「フェンリュリライ」と呼ぶと
 薄い褐色の肌に、水色のセミロングの髪、明るく深いブルーの瞳をした美しい女神の姿がぼんやりと目の前に現れます。

「私に何か用か?

 …一度立ててしまった"誓い"はもはや覆すことはできぬ。
 しかし"誓い"を破らずに状況を打破することは可能であろう。
 おまえたちの敵に"誓い"を立てさせればいい。
 前に立てた"誓い"と矛盾しなければそれは有効だ。
 ・・・・・・何もかも教えなくてはならないのか?
 少しは自分の頭を使え。
 奴の真の名を知りたくはないか?
 奴の名は「ディルウェール」という。
 それは奴の"真の名"に関連している。
 奴の真の名は『ル=ヴェルヴ=ドゥ=ディア』と言う。」

 …一方、少年と一緒に待っている側では黒い獣があくびをしながらこう言います。

「約束ごっこにはもう飽きた。
 俺は何も誓った覚えはない。
 助けると言っても全員を助けるなどと言ってないし、別に五体満足残しておく必要もない。
 ガキが死ぬまで一人でいいから一応生きてさえいればいいはずだな。
 そうだろう?」

獣がPCらをちょっといたぶったところで神殿に行った者たちが帰ってきます。


2―5.対決

「奴の真の名はわかりましたか?」

「ル=ヴェルヴ=ドゥ=ディアよ!
 誓いを立てろ!
 おまえに選択の余地はない。
 前の誓いの通り、僕はこの命をおまえにくれてやろう。
 しかしおまえは誓わなくてはならない。おまえは僕の命を奪い、血肉を喰らうことができる。
 しかしおまえは黄金の果実を喰らうことはできない。
 誓うのだ。
 おまえは僕の真の臓を喰わないことを。
 そして僕の命を奪い、その血肉を喰らった後は僕らを元の世界に戻し、
 その後二度と僕らの目の前に現れないことを。」

「("勇者"の名を呼ぶ)奴が去ったら僕の心臓を食べてください。
 あれは、神から与えられたイメージなので、
 そうすることによってしかあなたに渡すことができないのです。
 …全ての生き物は、食べられることによってその命を伝えて行くのですよ。
 …月の指輪の力を用い、勇者たちを神の世界へと導くのはあなたなのですよ。」

「皆さん、これまでいろいろ迷惑をかけてどうも済みませんでした。では。」

喰われる音。
冒険者たちを憎々しげににらむ獣。
血だらけの口に笑みを浮かべる。
と突然、獣の影が現れる、ディルウェールとその獣は互いににらみ合う。
そして お互いの闘争を始める。
闘争の末、自らを喰らい合って消滅する。

「俺は死んだ。
 よって真の名も変わる。
 もはや誓いを守る必要はない。
 また会おう。」

少年の心臓を食べた"勇者"は、その「黄金の車輪」と自らの「剣」のイメージが重なり合い、
「黄金の樹」のイメージへと変化するのを感じることができます。


☆黒い四足の獣(ディルウェール)
体力:90 運動:60 感覚:50 霊感:90
HP:75 /70 /90
攻撃:10D6+20
備考:目にした者は翌日「生命値」を1D6失う。


※"勇者"が"人"になるとその所持者がNPC化するかも知れないし、
 他のメンバーとの人間関係も変わって来るので気をつけてください。
 場合によっては不信感を抱かれることもあるので、
 "勇者"はこれまでの経過をいろいろ説明しなくてはならなくなるでしょう。


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