第5章:月の指輪〜少年の夢〜


5−1.ファラノウム


 ファラノウムまで1ヶ月ほどかかります。
 ファラノウムに来るまでの間に少女と少年は仲良くなります。あるいは仲が悪くなります?いずれにしろその辺の人間関係を決めておくといいでしょう。少年は個人的には悪ガキっぽいキャラクターである方が面白いと思うのですが、マスターの裁量に任せます。
 PCらはファラノウムでノルブという名の賢人に会います。彼に会って今後どうしたらいいかを聞けば、1日ほど資料を調べるなりしてこう言います。

「予言書によれば
 その子供と勇者たちはファラノ ウムの西の山脈に行き、
 "カルマの森"を見いだし、
 その先のアララテ山を越え、
 星宿海の中にある"月の神殿"に到着することになっている。
 そこで何か大切なものを発見するらしいが、詳しいことは書かれていない。・・・・・・」


※予言

以下、

“…その後、神の使いが現れる。
 勇者たちは、神の使いと、その少年に導かれ、神の国へと行く。
 勇者たちはそこで神によって与えられた試練をくぐり抜け、
 世界の暗き闇の源であり、
 かつて調和と統一の象徴であった、聖なる都を取り戻し、
 この世を滅びから救う…“

…と、続く。


「わしも"カルマの森"などというものを文献で見るのは始めてだし、
 これらの記述にどれほど信憑性があるのかわからないが、時が時だけに・・・・・・
 まあ、誰かが行かねばならぬのだろうな。
 そしてそこに記されているのがおそらく汝らであろうということは、つまりそれを成さねばならぬのは汝ら自身であるということであろう。」

「それは危険な旅かもしれぬ。
 いずれにしろこん な記録にしか記されておらぬようなものを見いだすためには
 いくつかの困難を乗り越えなくてはならないであろう。
 ・・・・・・その子はもうすでに入信の儀式は済ませておられるかな?
 さもなければさっそくやった方がよかろう。
 神の加護があれば幾らか助けになるであろう。」

 ここで全員の意志を聞いて、やろうという者だけが旅に出発することになります。
 今後の旅はもはや"興味本意"で行けるレベルを越えると思われるので。

「このキャラクターがそんなのに行くわけがない・・・・・・。」

 という場合には絶対に行かせてはなりません。
 その時点で、少なくともそのPCはゲームマスターとこのシナリオの手から離れてしまうことになります。極めて目的性が強くなってくるのでこれは仕方ありません。彼らには彼らの物語が刻まれて行くことになるでしょう。
 プレイヤーがプレイヤーとしてまだ話に参加したいのであれば、新たな(命知らずな)PCとして参加するか、ここまで同道したパノックをかわりにやってもらうといいでしょう。 ただ、パノックをやる場合には以下の情報を個人的に教えなくてはなりません。

"君はとある街の領主(オルム=ヴァーグル)の部下であるスパイで、
 その息子である少年の動静を魔法で常に報告し続けてきている。
 オルム=ヴァーグルはどこにいるか正確にはわからないが、近くでこちらを追跡し続けているらしい。
 先日、領主様からチャンスがあれば子供を連れ出せという命を受けた。
 君は領主様がその子供を憎んでいる(子供が生まれた時に、彼の妻が死んでしまったため)のを知っている。
 そして領主様への忠誠心と旅の間に芽生えた子供への"情"の間で揺れ動いている。"

 ・・・・・・パノックがPCに用いられるようにならない場合には、面倒であればここでおさらばしてもらうか、余裕があればどこかで適当に話に絡ませてもかまいません。

※出発前に治癒系の魔法(特に"オザンの癒し")を最低1人には覚えてもらった方がいいです。さらにノルブが援助として「"オザンの癒し"の魔法を封入した瓶」を一人ひとつずつくれたことにしてもかまいません。この後の冒険は本当にハードなものになるでしょうから。


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