第3章:誕生:赤ん坊の夢


"かの赤子はいかにしてひとつになりしや"


 何はともあれフェリアに到着できたが、謎の"白い手"によって赤ん坊に"呪い"がかけられてしまった!という前提で話を進めます。 たとえその呪いの魔法を解いたところで、すでにそれは子どもに何らかの重大な変化を及ぼし、彼は日に日に弱っていってしまいます。それは普通の方法では治すことができず、またそれができる者も街にはいません。その病(?)の進行をくい止めるのがやっとです。
 そして調べれば、シャロンという名の呪医が、街のはるか東の山脈のどこかに隠居していることがわかります。彼女はかつて極めて優秀な呪医であったらしく。そこに連れて行けば治せるかもしれない。 ということで、グレイはPCらにその医者を探すよう依頼します。


1.旅

 旅の途中パノックという名の狩人と出会います。何となく同道して以後PCらと行動を共にするようになります。実は、彼はスパイです。
 シャロンという人物の住む場所は街道沿いの村などで聞いたりすればやがてわかります。その村のすぐ近くの山を登ったところの山小屋に住んでいるらしいことがわかります。村の人々は、シャロンが"呪医"であるということなどまったく知りません。

☆狩人1(パノック)
体力:8 運動:9 感覚:7 霊感:7
HP:9/8/8 防御力:4
攻撃:
2D6+3※(長弓)
2D6+3※(小刀)
1D6+2※(針剣)
毒:テロドキシ 「体力」20・+10打撃or負傷値半減
技能:「狩猟3」
持物:金貨50、食料。


2.山

 山登りの途中、緑色の蛇に襲われるネズミ(リス?)に気付きます。ネズミからは「剣」のイメージを感じることができ、これは第1部のPCの一人のなれのはてです。蛇の方はシャロンの飼っている蛇で、どちらも死なせてしまうとまずいんですが・・・・・・。


3.シャロン

 何か不安げな歌声が聞こえてきます。一見若く見える普通の人間の女の人が歌を歌っています。

「風が・・・・・・変わり始めている。・・・・・・明日は天気が悪そう・・・・・・?」

彼女がシャロンです。 彼女は一応PCらの来訪を歓迎してくれます。
赤ん坊を治して欲しいと頼むとこう言います。

「どうして?なぜ私にそんなことを頼むのですか?」
「もしそんなに大変なことになっているのならば、その子はもう助からないのでしょう。
 そしてそれがその子の運命なのでしょう。
 そんなに早くして死んでしまうのはお気の毒ですが、仕方ありません。
 私には、もう、どうしてさしあげることもできません。」

「もっと以前にその子のことを言ってくれたら、
 も しかしたら何とかして差し上げられたかもしれませんが、
 今の私には、できません。」

 ・・・・・・とりあえずその日は泊めてくれるでしょう。
 もし、万一山道で緑の蛇を殺してしまったりしていたら、夜彼女は一人で探しに出かけます。そして何も見つからずにため息をつくことになるでしょう。 翌朝、蛇がいなければその行方をPCらに尋ねてきます。もしPCらが蛇を殺してしまっていれば、PCらが何か隠し事をしているのにすぐ気付きます。そしてそのことを話してしまうとこう言って追い帰されます。

「例の話はなかったことにしてください。」

 そんな悲劇的なことがなかったとしても、

「あれから一晩考えてみましたが、やはり私には できません。」

と言って帰されます。

 もし始めから子どもを連れてきているか、あるいはいったんフェリアに帰ってグレイに説教され、再び子どもを連れてやってきて、さらにうまく説得することができたのならば結局彼女はこう言います。

「話が本当ならば、うまくいくかどうかわかりま せんが、わざわざこの子をここまで連れて来られたことですし、
 一応やれるだけのことはやってみましょう。・・・・・・」

とにかく、説得してもらってください。それがこのシナリオの目的です。


4.赤ん坊の心の迷宮

「ここにこの赤ん坊と精神的なつながりの強い方がおられますか?
 ・・・・・・あなたにとってその他の方たちは信頼できる方たちだと思われますか?」
「これからこの子どもの心の中に入って災いの元を断ちに行くのですが、それには危険が伴います。
 それであなた方がこの子どもと精神的なつながりを持っているのならばぜひ協力をお願いしたいのですが。」

 赤ん坊をベッドに寝かせ、シャロンを含めた協力する者が円形に手をつないで取り囲みます。シャロンがしばらく古代神聖語による呪文を唱えます・・・・・・。 他の者は「霊感」のRR30以上を出すことで赤ん坊の心の中に入ることができます。足りない場合にはその分HPを減らすことで補うことができます。


【1】花畑・・・・・・白い赤ん坊

 白い花の花畑がどこまでも続いています。純白の服を着、白い翼の生えた長い髪の女性が真っ白な赤ん坊を胸に抱いて子守歌を歌っています。女性の顔は鼻があるだけであとはのっぺらぼうです。 赤ん坊と最も強い精神的な絆を持った者が近付くと、彼女は立ち上がって赤ん坊を手渡します。(「愛しさ」+2D6。)
 白い赤ん坊からは「上向きの白い三角形」のマジックイメージを感じます。
 そして赤ん坊を受け取ると風が吹き始めます。どす黒い雲に空が覆われ始め、遠くの方から次々に花が萎れていってしまいます。そして1方向からものすごい勢いで漆黒の稲妻をまき散らす黒い塊が飛来します。 それは真っ先に赤ん坊を殺そうとします。
 戦闘です。

☆化け物
(闇?不定形?)
体力:22 運動:11 感覚:16 霊感:10
愛嬌:2 美麗:18 威厳:18 畏怖:5+5
HP:17/19/16 防御力:0
攻撃(2D6)
2〜3 見えない鞭に絡められる。以後引き寄せられ、何度も噛みつかれる(2D6打撃)
 4  純銀の短刀で切られる。2D6打撃。
5〜6 鷹のようなかぎ爪のついた足で蹴られる。3D6打撃。
 7  「憎しみ」3D6増加
 8  火の球を1D6個打ち出してくる。3D6打撃。
9〜10 かぎ爪で切り裂かれる。3D6打撃。
11〜12 突然鋭い針を打ち出してくる。3D6打撃。さらに霊感のRR20以上を出さないと「悲しみ」1D6減少、「憎しみ」1D10増大。
感情波動:「憎しみ」3D10
備考:隣接したすべての敵に同時に攻撃できる。

 ・・・・・・化け物を倒して一段落ついたところでシャロンがこう言って歩きだします。

「その赤ん坊はまだ不完全で、足りない部分を探 さなくてはなりません。行きましょう!」


【2】氷の壁

 PCらは巨大な氷の壁に行く手を阻まれます。上も横も、どこまでも果てしなく続いていて先に行くためにはそれを打ち破るしかありません。 この壁に触れた者は「悲しみ」を1D10得ます。


【3】炎の輪・・・・・・黒い赤ん坊

 しばらく行くと暗闇の中に大きな炎の輪を見つけます。輪の中心の宙空に黒い赤ん坊が浮いています。近付こうとすれば火が激しく燃え盛り、ダメージを受けることになります。火に触れた者は「恐れ」を2D6得ます。
 ダメージなどものともせずに近付くなり、耐火の魔法を使うなり方法は色々ありますが、結局この"炎の輪"は「恐れ」に基づいたものなので、赤ん坊の「恐れ」を解いてあげれば火は消失します(歌を歌うとか、説得するとか・・・・・・)。
 ・・・・・・いずれかの方法で黒い赤ん坊に近付き、白い赤ん坊と近づけても最初は何も起きません。
 シャロンがこう言います。

「それが赤ん坊の残りの部分です。
 それがひとつになれば彼はひとつになることができるのですが・・・・・・
 だれか、その子の"真の名"を知りませんか?」

 たぶん誰も(ゲームマスターも)知らないので、みんな黙り込んでしまうでしょう。
 しかし、やがてシャロンは笑みを浮かべてこう言います。

「その子にはまだ"真の名"が付けられていませんね?
 では、あなたが名前を付けてあげてください。他の者には聞こえないように・・・・・・。」

☆蛇の治療師シャロン
年齢:??? 地縁:森 霊縁:歌 クステ:鷲
体力:8 運動:8 感覚:8(+5) 霊感:16(+5) 愛嬌:5
美麗:8 威厳:6 畏怖:3 HP:8/8/12
幸:空がよく見える高い場所。
不:青空が見えない時間・天候。
技能:《想医への道》《風読み》「医術・薬学10」「民俗学6」 「蛇毒15(対蛇毒)」
魔法:"イーヴォの癒し" "喜びの翼" "翼の友" "イーヴォの誘い" etc...
信仰:ザリ
持ち物:いろいろ


5.結末

 赤ん坊に"真の名"を付けてあげるとふたつの赤ん坊は光を放ってひとつになります。「上向きの白い三角」と「下向きの黒い三角」が重なり合って六芒星形が完成し、彼の"自我"が誕生します。
 そして赤ん坊をかかえていたPCは山小屋の中の部屋であの赤ん坊を抱きかかえているのに気が付きます。赤ん坊はPCの腕の中で笑みを浮かべながらすやすやと眠り、シャロンもその光景を見て微笑んでいます。 PCらがフェリアに帰ってことの次第をグレイに報告すると、彼は大きくうなずきながらこう言います。

「では、あなた方に重要なことをお願いしなくて はならないようですな。
 どうかその子を大きくなるまで守ってやっていただけないでしょうか?お願いします。」

そして、引き受けた者には、

「実は、これはその『黄金の車輪』を所持する赤ん坊を守る6人の勇者に与えられるというもので、わが家に古くから伝わっていた物なのですが・・・・・・」

と言って以下の物を渡してくれます。

☆"『黄金の車輪』を所持せし御子を守りし 6人の勇者"のための武具
☆魔法の武器
・光剣(5/5/2D6+3※/命+6) ※「霊感」8以上ならば攻撃ごとに光を放ち (目くらまし)さらに妖魔類に1D3打撃。
・大刀(8/5/3D6+3※/命+5/銀製)
・長剣(7/4/3D6※/命+4/銀製)
・長弓(5/5/1D6+3※/命+4/対妖魔)
・小刀(5/4/2D6+3※/命+3/銀製) ※「青」のパワーソースを帯びている。
・突剣(5/3/2D6−3※※/命+1/銀製)

☆防具
 真っ白な鎧で、胸のところに紋章が描かれている。紋章はヴァーグル家のもの。
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔/白)
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔)
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔)
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔)
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔)
・板金鎧(防:6/体:4/対妖魔)

※「魔法の武器」の方は本当は全部「アーティクル」ですが、ルールの処理が面倒なので命中修正があり、幽魔・アンデッドにも効果のある武器ということにしました。余裕があればちゃんとアーティクルとして作ってもいいでしょう。


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