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3.鬼退治


 『お前が
  愛しているのは
  いったい誰じゃ?』
           〜マギラーガの言葉〜


◇魔剣の所持者
◇雪の町
◇領主の館
◇地下迷宮
◇対決の舞台
◇ “想い“
◇エピローグ


◇魔剣の所持者

 魔剣の所持者となった者は【運命01】「呪われた魔剣」の運命を得ます。
 能力値の修正[体格−3・筋力−3・社交+6]と、縁故[魔剣〈5〉]を得ます。
 魔剣の運命は【運命55】「愛する者を滅ぼす予言」です。


《愛する者を滅ぼす魔剣》

 この魔剣は、普段はただの長剣に過ぎませんが、所持者が「愛している」と自覚している者を殺そうとする場合にだけ「効果値5」となります。
 しかもこの魔剣は

「お前は愛する者をその手にかけることになるであろう。
 ほら、手元が狂って…。」

などと囁いて、使い手を惑わします。

 この時、魔剣の影響による目標値15の意思の判定を行い、失敗した場合には寿命を4年吸い取られ、魔剣の意思によって勝手に「大失敗」を引き起こされてしまいます。【運命55】「愛する者を滅ぼす予言」にある通り、魔剣は愛する者に必ず命中し、しかもそのダメージは「貫通を伴った効果値6(通常の効果値+1)」となります。

 その他の効果については通常の魔剣の能力に準拠します。


◇雪の町

 雪が激しく降っていて、先がよく見えません。

 町に帰ってくると、そこは大変なことになっています。
 一つ目の魔物が現れて暴れているというのです。
 人々は、神殿などの建物に避難しておびえています。
 時折地響きと、何かが破壊される音、人々の悲鳴が響いてきます。


◇領主の館

 ところどころひどく破壊されて、倒れたまま動かない死体がいくつか転がっている。
 館の者たちは、張り詰めた様子で待機している。怪我人もたくさんいる。

 領主は奥の間に、疲れきった様子でいる。
 何を聞いても上の空という感じである。

「妻を、捜してはもらえないだろうか。
 昨日最後に見てから、どこかに行ってしまったらしいのだ。」

「ふん、しきたりだと。馬鹿馬鹿しい。
 あの男は、あのせむしの男は、そう言っていた。
 流れたのでは、なかった。
 子供はちゃんと生まれたというのに、あの男は。
 だから、殺してやった。
 奴は間違っている。
 だから私は、奴の首をはねてやった。」

「この家には、昔から、しきたりがあるのだそうだ。
 その子供が生まれた時、その子が男である場合には、
 その顔が蛙のような醜いものであることがあるのだそうだ。
 その子供は、魔物の呪いを受けた悪い子だから、
 大きくなる前に、その頭を、石で…。

 やつらは人殺しだ。
 どうしてそんなことで私たちの子を殺されねばならんのだ。
 だから、奴の首をはねてやった。

 …そのあとで、妻にそのことを話してやった。
 子供は本当は生まれていて、殺されたのだと。
 そしてその仇は私が取ってやったと。
 妻は何も言わなかった。
 妻はそのまま部屋を出ていって、それから、その姿を見ていない。」


◇地下迷宮

 夢でそこに行ったことのある者は、夢での記憶を頼りに奥へと行くことが出来ます。


◆井戸の間

 石造りの間で、その中央に井戸があります。
 井戸の縁に、黒ずんだ大きな石が乗せられています。
 床に骨のかけらが無数に転がっています。


◆合わせ鏡の間

 姿見が二つ、ひとつはひび割れたもの、もうひとつはそうでないもの。
 真夜中、姿見を向かい合わせにして中を覗き込むと、深淵の奥深くにある、魔族「想いの鏡ルサンティマン」の内なる想いの領域に入り込むことができる。


◇対決の舞台

 PCたちが魔物と対決する場合、2通りの方法があります。

1) 現実に、魔物と対決する。

 いわゆる普通の戦闘になります。
 PCに戦闘系のキャラクターが多い場合にはこの方がいいかもしれません。
 ただし、ここで魔物を殺してしまうと、そのよりどころであった領主の妻も死ぬことになります。

2) 深淵の中で、魔物の“想い”と対決する

 合わせ鏡の間から、その場所に行くことが出来ます。
 PCに魔法系のキャラクターが多い場合にはこちらの方が良いでしょう。
 その戦いは、その世界に入り混じる“想い”の荒波の中をさまよっていくものになるでしょう。
 失敗すると、PCたちは魔物に取り込まれてしまうことになります。


◇“想い”

 「呪われし子供」が魔剣の使い手となり、その魔物の正体であるその“想い”の中に自分の母親の姿を見つけることが出来れば、その剣の力を使うことが出来ます。
 そのためには、「呪われし子供」のプレイヤーおよび、キャラクター自身がそのことを自覚し、はっきりと言葉で表さなくてはなりません。
 例えば、

「かあさん」

と、呼ぶとかね。


”…すると、あなたの目に、黒い髪をした女の顔が浮かぶ。
 彼女は微笑む。

「大きくなりましたね。
 本当に。
 …さあ、急ぎなさい。
 その剣で
 私を
 刺すのです。」

「…よかった。
 こんなにも大きくなった、
 あなたを見ることが出来て。」

 彼女は、あなたをじっと見て、
 目を閉じる。”


◇エピローグ

◆領主のエピローグ

 元の人の姿に戻った妻を抱きかかえ、「密使」にたずねる。

「私たちは、いったいどうしたらいいんでしょう。」


◆伝説

 …ここで起きたことは、また新たな伝説として語り継がれていくことになるであろう。

【黄の八弦琴】

”伝説こそ語るべし。
 なぜなら、皆を導き、希望を与えるから。“


-Fin-