11.目覚め

〜語り残さん。これら全てが夢で終わらぬために。〜


11−1.覚醒

 いったい何人が生き残ったものか?
 無事生きて帰れた者は目覚める。
 そうでないものは眠ったまま死んでいる。
 あるいは消え失せている。
 どこかの町の占い師の家の一室。
 生き残った者はそれぞれがそれぞれの道に別れ、
 そして「現世」での運命を求めてゆくのであろうか?
 夢の中に置き去りにされた者たちは
 深淵の奥底でその帰還と再生の時をうかがい続けるのか?
 ・・・・・・・・・・・・

 

11−2.“魔”の覚醒

(《眠れる者》が“喰われた”場合。)
 彼(彼女)は、ぱちりと目を開き、起き上がった。
 そしてゆっくりとあたりを見回し、にぃっと笑みを浮かべた。

「これが、世界か。・・・・・・
 我は、ついに世界を手に入れた。」
「次は、我が兄弟たちを探しにゆかねばならぬな。
 ・・・・・・フフッ・・・・・・」

 

11−3.《ありうざる者》の最期

 彼(彼女)は、ここまでやって来て、ようやく気づいた。
 そう、自分には帰るべき体がない。
 彼(彼女)はついにその真実を目の当たりにし、
 悲鳴、苦痛、あるいは喜び(?)、
 ともつかぬような弱々しい声をあげ、
 そして、
 消滅した。

 

11−4.夢占い師

「我は大地を編む。
 世界は今も、これからも自ら出来ていくのだ。」

 夢占い師デュエッサは、捜し求めた魔族の精神と同化した。
 彼女はその奥底で、嬉々として“夢”を編み続ける。
 永遠に。・・・・・・

 

11−5.思い出

 そこには永遠の時が流れていて、
何者も老いることも死ぬこともない。
 全ての記憶は美しい思い出となって永遠に生き続ける。

「語り残さん。
 これら全てが夢で終わらぬために。」

 

−Fin−