万華鏡  【白の原蛇】一人一人が自由を持つ。それは誰にも縛られない。


 
1.はじめに
1−1.使用サプリメント等
1−2.予告編
1−3.GM用概要解説

2.事前準備
2−1.キャラクター作成
2−1−1.公開情報告知
2−1−2.非公開情報告知
2−1−3.初期手札配布

3.シナリオ・フレームワーク/シナリオ本編

−第1章−
3−0.予兆

3−1.遭遇

3−2.災厄の村
3−2−1.得られる情報等
3−2−2.村長の館(龍司祭の館)
3−2−3.埋葬
3−2−4.終了処理

3−3.竜騎士
3−3−1.終了処理

3−4.夢

−第2章−
3−5.因果応報
3−5−0.前準備
3−5−1.関門
3−5−2.敵の敵は味方?
3−5−3.黒衣の貴婦人
3−5−4.黒の館
3−5−5.対話
3−5−6.地下室
3−5−7.対決
3−5−8.終了処理

−第3章−
3−6.世界の焦点
3−6−1.回想
3−6−2.竜騎士
3−6−3.夜の出来事
3−6−4.襲撃
3−6−5.妙案
3−6−6.脱出行
3−6−7.終了処理

−第3章−
3−7.騎士の死
3−7−1.騎士の死
3−7−2.第2の死
3−7−3.第3の死
3−7−4.最期の時

−最終章−
3−8.旅の終わり


1.はじめに

本記事は、3〜4人のプレイヤーを対象とした、深淵用のシナリオです(第2版対応)。
龍の都スィネ周辺を舞台にした、PCたちの運命的な出会いを描いたシナリオで、
PC同士利害が対立して対決する展開もありえますし、プレイヤー次第で
PC同士協力して問題に立ち向かう展開になることもありえます。

本シナリオをプレイされるGMの方は、プレイヤーの要望を良く拾って、
好きな展開に進められるよう柔軟に対応してください。
好きな展開というのはプレイヤーの好き勝手に何でもやり放題になるということではなくて
プレイヤーはどんな方向性の展開を選ぶことも可能ですが、どの展開を選んでも
それぞれに見合った課題が提示される、という意味での好きな展開を選ぶことができるということです。


1−1.使用サプリメント等

<必須>
・深淵第2版

<準必須>
・銀龍亭異聞
・血のごとく赤き

<参考>
・追憶
・城砦


1−2.予告編

 募集時、もしくはセッション開始時にPLに告知するセッション概要情報です。

メジナから東方、中原の東端に位置する龍の都スィネは、非常に軍事的な要素の多い街である。主にその目的はファオンの野を闊歩する龍王からの防衛である。

10年前、ファオンの野に霧の龍王ファーロ・パキールが出現し、とある小国が滅ぼされた。その国ではたった一人を除いてすべての人間が龍王に食い殺されたといわれる。

近年、龍王教団による暴動が発生したが、国軍の出動で速やかに鎮圧された。大公家が魔道師学院と深い関わりを持つことから、その支援があったと見られている。

その活動がまた活発化しつつあるらしいという噂があり、龍への忌避と警戒感が強まっている。

……そんな情勢下、スィネの近くの街道筋でPC(プレイヤー・キャラクター)たちは遭遇をします。


1−3.GM用概要解説

ある日、一人の若き騎士が、記憶を失った少女に遭遇する。
少女の故郷の村に向かうと、そこはスィネの軍勢に焼き払われたあとだった。
少女は世界を滅ぼす力を持った『龍の巫女』だったのだ。
世界中の人々が、少女の命、あるいは力を狙う。

……というのがこのシナリオの基本プロットです。

PCは少女を助ける側になるもよし、
少女の命を奪う側になるもよし、
その力を利用するもよし、
好きに選んで行動してもらってください。

何もしなくても、世界中の人々が少女を狙ってやってきますので
どこかしら話は落ち着くでしょう。

GMは運命によって転がる物語を遊んでください。

<主要NPC>
・霧の龍王ファーロ・パキール
神や別格の魔族以上の力を持つ龍王で、それが現れるだけでも世界が滅びると言われる。
「記憶を失った少女」は運命「魔法の力」でこの龍王を1アクションで召喚できる。
(その能力は「過去を失った者」の運命で忘れ去られている)

・龍司祭ユローク
「記憶を失った少女」の父親、主人。死亡。
10年前、少女に龍を召喚させ、一国を滅ぼした。
その際「守護者」の力で少女の魔法による反動ダメージを肩代わりして死亡。
少女がそのせいで精神に異常をきたしたため、不憫に思ったサドレナ=シュペールが彼をよみがえらせた。
しかし、竜騎士ガラド=ランタールの村への襲撃により2度目の死を迎える。
その後、黒衣の貴婦人サドレナ=シュペールが戯れに創造した魔獣にその魂が宿り,第2の蘇りを迎える。

・竜騎士ガラド=ランタール
スィネの竜騎士。「故郷を失った吟遊詩人」の知り合い(縁故5振っている)で、共に龍と戦って滅ぼし、できれば「故郷を失った吟遊詩人」の故国を再興することを夢見ている。
『龍の巫女』掃討隊のリーダー。

・黒衣の貴婦人サドレナ=シュペール
未亡人。貴族にして黒剣の魔道師。実は獣師。
10年前龍司祭ユロークに龍を呼ぶようそそのかしたのは彼女である。
彼女はかつて「大義のため」と言って戦おうとしていた夫を戦争で失った。
以来、「大義とは何なのか?」「大義によって大切なものを失っても納得ができるのか?」「どんな大義であれば信用に足りるのか?」ということを実地に試すことに喜びを覚えている。


2.事前準備


2−1.キャラクター作成

本シナリオは、半構造型シナリオです。(テンプレート&運命1個決定したキャラクターをカスタマイズしてプレイする)。    

2−1−1.公開情報告知

募集時、PL同士の立ち位置のすり合わせ時に渡す情報です(公開)。
プレイヤーが3人の場合は【記憶を失った少女】【運命の出会いをする騎士】【醜い傭兵】を使用してください。

【記憶を失った少女】−ハンドアウト

テンプレート:
「ラヴィオラ」(銀龍亭異聞所収。基本ルールしかない場合は「白馬を連れた少女」)

運命:
デフォルトの運命を「58:過去を失った者」に書き換える。合わせて縁故も修正。

概要:
あなたはそのときそこに在った。それ以前の記憶は何もありません。

 


【運命の出会いをする騎士】−ハンドアウト

テンプレート:
「漂白の若き騎士」(銀龍亭異聞所収。基本ルールしかない場合は「騎士」を使用)

運命:
「運命の出会い:恋愛」

概要:
あなたは旅路で一人の【記憶を失った少女】に出会います。それは運命の出会いです。
あなたは少女を助けますか?→Yes/No

 


【醜い傭兵】−ハンドアウト

テンプレート:
「傭兵」

運命:
「19:醜悪」

概要:
あなたはとても醜く、人々から嫌われています。
あの【記憶を失った少女】はあなたの命です。

 


【故郷を失った吟遊詩人】−ハンドアウト

テンプレート:
「吟遊詩人」

運命:
「32:故郷を失った」
「49:待ち人の予感」

概要:
あなたは、10年前霧の龍王ファーロ・パキールに滅ぼされた国の、たった一人の生き残りです。
すべてを失ったあなたに生きる道を教えてくれたのはあの【運命の出会いをする騎士】でした。

 


2−1−2.非公開情報告知

 各PLが担当するキャラクターが決まってから各人に渡してください(非公開)。
それぞれ質問事項が記述してあるので、回答を書いてもらってください。

【記憶を失った少女】−詳細ハンドアウト

・過去の記憶については【醜い傭兵】と調整してください。

・下記設定を決めてください。

・自分の名前を覚えているかどうか?

 ・名前は何か?

 ・自分がラヴィオラであることを覚えているかどうか?

 ・自分の御主人様(父親)について覚えているかどうか?

・御主人様のことを覚えている、いないに関わらず、その人物と強く繋がっている感覚があります。

 


【運命の出会いをする騎士】−詳細ハンドアウト

・騎士道とは
「忠誠」
二心を持たず、主人(国家)のために働くこと。まごころ。

「公正」
特定の人だけの利益を守るのではなく、だれに対しても公平にふるまうこと。

「勇気」
普通の人が不安・恐れを懐(イダ)いたり 躊躇(チユウチヨ)・
恥ずかしさを感じたりする所を屈しないで、
自分が正しいと思った通りやってのけること。

「武芸」
騎士として身に付けるべき武術に秀でること。

「慈愛」
自分の血を分けた者に対する(ような)愛情を持って人々に接すること。

「寛容」
失敗などをとがめだてせず、他のいい面を積極的に認めること。

「礼節」
その社会の秩序を保つため、礼儀作法や節度のある行動をすること。

「奉仕」
報酬を度外視して国家・社会・人のために尽くすこと。

・将来の夢について考えてください。

・無力ではあるが、世間的には悪と捉えられていて、そんな存在があなたに助けを求めに来たとしたらあなたはどうしますか?

・あなたにとって「大義」とは何ですか?

・あなたの掲げた「大義」の下に集まった人々が、あなたの失敗によって悲惨な目に遭ってしまった場合、それについてどう思いますか?

 


【醜い傭兵】−詳細ハンドアウト

・【記憶を失った少女】の名前を該当PLと話し合って決めてください。

・あなたは【記憶を失った少女】に頼まれて花を探す旅に出ていました。それはとても貴重な花で、手に入れるのに数週間もの期間がかかりました。今はその花を手に入れて村に帰るところです。
・それはどんな花ですか?

 ・どのようにしてその花を手に入れたか決めてください。

・あなたの住んでいた村は表向きは普通の村を装っていますが、実は龍王教団の村です。【記憶を失った少女】は村長の娘で、彼女は「龍の巫女」と呼ばれていました。

・一般人にそのことを知られると死の危険があります。気をつけて!

 


【故郷を失った吟遊詩人】−詳細ハンドアウト

・故郷を滅ぼした敵に遭遇した場合、どうしたいと考えていますか?

・故郷が滅んだときに自分一人だけ生き延びたことについてどう考えていますか?

・【運命の出会いをする騎士】についてどう思っていますか?

・【運命の出会いをする騎士】に教えられた(と思っている)あなたの生きるべき道とは何ですか?

 


2−1−3.初期手札配布

サプリメント「血のごとく赤き」を使用する場合は、下記手札を1まいずつランダムでプレイヤーに渡してください。

【蒼白たる龍王】
→使用例
・敵との戦闘で相打ちでも倒したいとき
・自分の正体は実は「霧の龍王ファーロ=パキール」だと言いたくなったときに、
運命の選択でこのカードを出す(笑)。
→「記憶を失った少女」がこれを出したときは
「実は召喚魔法を使えたというのは誤った記憶で、変身魔法というか、本来の姿に戻っただけなんだ」
と解説する(笑)。

【入信】
→使用例
・PCがどちらの派閥に付くか、覚悟を決めたとき

【守護者】
→使用例
・味方のPCが「蒼白たる龍王」で相打ち死亡になったときに、代わりに自分が死ぬことを選ぶ場合
・「記憶を失った少女」が「霧の龍王ファーロ=パキール」を召喚して反動で死亡するときに、反動ダメージを自ら肩代わりする
・その他、誰か自分にとって大切な人がダメージで死にそうになったときに

【予言する猫】(PCが3人の場合はこれを取る)
→使用例
・真実を知りたくなったときに


3.シナリオ・フレームワーク/シナリオ本編

本シナリオでは下記テンプレートを使用します。
本シナリオのセッションでプレイヤーは好きに展開を選ぶことが可能ですが
どの展開を選んでも高確率で下記テンプレートに当てはめることが可能です。

<テンプレート(序盤分岐型)>
 
0.プロローグ
↓
1.遭遇
├→────────────┐
↓             │
2.状況把握        ↓
├→────────────┤
↓             │
3.目標設定        ↓
├→────────────┤
↓             │
4.目標に向けて行動/移動 ↓
├→────────────┤
↓             │
5.第1の試練       ↓
├→────────────┤
↓             │
6.第2の試練       ↓
├→────────────┤
↓             │
7.第3の試練       ↓
├←────────────┘
↓
8.エピローグ
      
<シナリオ:万華鏡>
 
3−0.予兆           第一章
↓                 │
3−1.遭遇            │
├→────────────┬┐  │
↓             ││  │
3−2.災厄の村      ↓│  │
├→────────────┤│  │
↓             ││  │
3−3.竜騎士←──────↓┘  │
├→────────────┤   │
↓             │   │
3−4.夢         ↓   │
├→────────────┤   │
↓             │   ↓
3−5.因果応報      ↓  第二章
├→────────────┤   │
↓             │   ↓
3−6.世界の焦点     ↓  第三章
├→────────────┤   │
↓             │   ↓
3−7.騎士の死      ↓  第四章
├←────────────┘   │
↓                 ↓
3−8.旅の終わり        最終章
      

 第一章
 緑の黒剣:「炎は生きるが故に、燃え広がっていく。炎として、生きるが故に、他者を焼き尽くそうとするのだ」


3−0.予兆

プロローグの夢歩きをします。
順番は

1)「故郷を失った吟遊詩人」
2)「醜い傭兵」
3)「運命の出会いをする騎士」
4)「記憶を失った少女」

の順番で行ってください。(話の外堀から焦点に迫っていく感じで)
下記は参考例。

【故郷を失った吟遊詩人】−プロローグ

霧の中から龍が現れあなたの国を喰らい尽くしていく。

あなたにとって大切だった人(父親?)も、目の前でむさぼり食われる。

龍があなたに尋ねる。

『生きたいか?』

・Yesの場合
龍はあなたを除くすべてを喰らい尽くして高笑いをあげながら去っていく。

・Noの場合
龍はあなたを除くすべてを喰らい尽くして高笑いをあげながら去っていく。

あなたはすべてを失い、たった一人生き残った。

ある日「運命の出会いをする騎士」にあなたは出会った。

あなたは彼に出会うためにこれまで生かされていたのだと感じた。

『お前は何のために生きている?』

 


【醜い傭兵】−プロローグ
あなたは「記憶を失った少女」に頼まれ、花を探していた。
それはとても貴重な花で、各地を旅したあげくようやく発見したのは数週間も経ってからのことだった。

あなたはようやく手に入れた花を携え、村へと帰ろうとしていた。

 


【運命の出会いをする騎士】−プロローグ

あなたは一国一城の主となる野望を胸に秘め、スィネの地にやってきた。

昔、友人であった、(少し魔法かぶれの)ある貴族と『どんな国を作ろう?』という話をしたときに、その人物はあなたにこう問いかけてきた。

『無力ではあるが、世間的には悪と捉えられていて、
そんな存在があなたに助けを求めに来たとしたら、
あなたならどうしますか?』

『あなたにとって“大義”とは何ですか?』

『あなたの掲げた“大義”の下に集まった人々が、
あなたの失敗によって悲惨な目に遭ってしまった場合、
それについてどう思いますか?

例えば、無力ではあるが、世間的には悪と捉えられている存在を
あなたは助けることを選んだとして、その存在が実は何か恐ろしい力を持っていて
気まぐれでその力を発揮してしまい、そのせいで大変なことになってしまったとしたら
あなたはその“大義”の下に集まった人々に対して

「こうなることも覚悟の上で集まったのであろう?」

と言い切ることが出来ますか?』

 


【記憶を失った少女】−プロローグ

あなたはそのときそこに在った。
それ以前の記憶は何もない。

そこはどこかの街道で、時間は夕暮れ。
あなたに帰るところはない。

と、そこに道の脇から猫が現れた。
猫はあなたにこう言う(人語で)

『選択肢が4つあるけど。1番が正解。理由は忘れた』

『さびしい? さびしい方がいいよ。不幸なのは自分一人で済むから』

『でも、もう手遅れだね。じゃ』

猫は去る。

 



3−1.遭遇

スィネの近くの街道でPCたちは遭遇します。時間は夕刻。
遭遇する順番&処理は下記のとおり。

1)「記憶を失った少女」&「運命の出会いをする騎士」
・各個夢歩きをする
・「運命の出会いをする騎士」の運命の相手は「記憶を失った少女」ということで感情設定などをしてもらう。

2)そこに「醜い傭兵」が現れる
・遭遇の夢歩きをする
・ ポイントとしては、下記に注意して人間関係を築いてもらうと良いでしょう。
・「醜い傭兵」とまともに話したい人は「意思」で15の判定が必要。失敗すると嫌悪感をあらわにしてしまう!
・自分にとって大切な「記憶を失った少女」が何だか「運命の出会いをする騎士」と親しげにしてるぞ!(笑)
・「記憶を失った少女」は、自分のことも何もかも忘れてしまってる!
・「醜い傭兵」が花をどうやって「記憶を失った少女」に渡すか? あるいは拒絶されるか?
・最悪、いきなり「運命の出会いをする騎士」と「醜い傭兵」が痴話喧嘩、
もしくは殺し合いを始める可能性がありますが、そのときはそのときでそのまま進めましょう(笑)。

3)そこに「故郷を失った吟遊詩人」が現れる
・遭遇の夢歩きをする
・3人が集まって不穏な空気になってるところを適度に調整を(笑)。

終了処理
いきなり分岐がいっぱいあります(笑)。臨機応変に対応してください。
下記に対応例を列挙します。(一応発生確率の高そうな選択順に列挙)

1)とりあえず宿を求めて全員で少女の故郷の村に向かう
 これが一番スタンダードな選択だと思われます。
アドリブに自身がない場合はこの展開に誘導しても構いません。
場所は「醜い傭兵」が知っています。
「運命の出会いをする騎士」「故郷を失った吟遊詩人」も、地域知識の判定に成功すれば知っています。
「記憶を失った少女」は知りません。

「3−2.災厄の村」

2)少女+αが故郷の村に向かうが、はぐれたPCがそのあとを追跡する
はぐれたPCは「竜騎士ガラド=ランタール」と遭遇して掛け合いでひやひやしてもらうと良いでしょう。

「3−2.災厄の村」
「3−3.竜騎士」

3)全員でスィネの町に向かう
村の事情を知らずにいきなり「竜騎士ガラド=ランタール」と遭遇ですかね。

「3−3.竜騎士」

4)少女+αがスィネの町に向かうが、はぐれたPCがそのあとを追跡する
村の事情を知らずにいきなり「竜騎士ガラド=ランタール」と遭遇ですかね。

「3−3.竜騎士」

5)PC同士がいきなり殺し合いを始めた場合(笑)
状況を見て、必要があれば夢歩きとかを使って、裏設定を前部ぶっちゃけてしまってください。
これが最終決戦になっても良い(笑)。
決着が付いたらエピローグへ

「3−8.旅の終わり」

6)完全に別行動で袂を別つ場合
どうしても対応できなさそうだったら、エピローグに進んでいいでしょう(笑)。
一応状況がわかるようにPLに裏設定などをぶっちゃけてから

「3−8.旅の終わり」


3−2.災厄の村

少女の故郷の村に向かうと、それは赤々と輝いています。

村は燃えています。

3−2−1.得られる情報等

・生きてる者はいない。死体は、剣、槍、矢などの人の武器で殺されたように見える。

・発見できる足跡は2種類。1、人間の足跡。2、大きな獣?の足跡(亜竜の足跡)。

・地域知識、魔法知識などの判定で高い達成値を出せば、この村が龍王教団の村で、スィネの軍勢によって掃討されたらしい?ということに気付く可能性があります。

3−2−2.村長の館(龍司祭の館)

村の中央にあります。

【記憶を失った少女】の夢歩き

霧の中から爬虫類の目が睨んでいる。

その巨大な存在は天から鱗に覆われた手の爪で村の中央の建物を指差し、こう言う。

『世界を滅ぼしたくなったら、いつでもわしを呼ぶがいい』

 

館の中で一行は村長の無残に切り裂かれた死体を発見します。

「記憶を失った少女」がその死体を見た場合、それが父親(または御主人様)の死体であることがすぐにわかります。

父親(または御主人様)の死を認識した場合、即座に「記憶を失った少女」は寿命を5年削ってください。

さらに彼女は意思の判定で15に失敗すると、衝撃で行動できなくなります。

ここでGMは「記憶を失った少女」のPLにこうたずねてください。

「世界を滅ぼしたいですか?」

・Yesの場合
少女は失った記憶を取り戻し、隠された運命「魔法の力」が明らかになります。
即座に霧の龍王ファーロ=パキールが召喚され世界は滅びます(笑)。

「3−8.旅の終わり」

・Noの場合
残念ながらまだ世界は滅びません(笑)。

一応ここで、少女が決断を下す前に、他PCが少女をフォローするような演出の機会を設けましょう。

このシナリオではどのPCがどのくらいの強さで少女と友好的な関係を築けるかがポイントとなりますので、その辺の演出ネタに注意して拾うようにしてください。演出のついでに互いの縁故を増やすよう指示するのもいいでしょう。

ちなみに、村長の身体をよく調べた場合、全身がびっしりと鱗に覆われている(青龍の刻印)のに気付くことが出来ます。

3−2−3.埋葬

村長や村人を埋葬したいと言い出すPCがいるかもしれません。

やりたければやっちゃってください。

ちなみに、あまり長時間村に滞在し続けると村を襲ったスィネの軍の者が村に見回りにやってきますので注意してください。

3−2−4.終了処理

シナリオ構造としては、ここは分岐しません。

ありえる状況としては下記の2パターンくらいでしょう。

1)村から離れてそこで休息(時間も遅いので)

比較的安全?

「3−3.竜騎士」

2)村のどこかで休息

比較的危険?

「3−3.竜騎士」


3−3.竜騎士

雨が降り始める。

霧が発生し、辺りがけぶる中、ズシンズシンという地響きと共に、

二本足の巨大な爬虫類に乗った騎士が現れる。

竜騎士ガラド=ランタール
テンプレート:「騎士」
備考:馬のデータを亜竜に差し替える。判定省略する場合は召喚値40の魔族の眷属と同等の扱いにすること。

※PCたちが村にいた場合は、竜騎士ガラド=ランタールはさらに数人の部下を連れて現れます。

・せりふ

「何故こんなところに?」

「このあたりで少女を見かけなかったか?」

・多少信用されたら

「実は、あの村はとても危険な龍王教団の村だったのだ。だから粛清した」

「ここだけの話だが、あの村には『龍の巫女』と呼ばれるとても危険な存在がいたのだ」

「『龍の巫女』は世界を滅ぼす龍を呼び出す力を持っている」

「一刻も早く『龍の巫女』見つけ出し、始末しなくてはならない。世界が滅ぼされる前に」

・「故郷を失った吟遊詩人』がいる場合

「おお『故郷を失った吟遊詩人』様ではありませんか!

あのたった一人生き残ったという。

こんなところでお会いできるとは。光栄です!」

「あなたと共にあの憎き龍と戦う機会が訪れることを夢見ていたのですよ」

・「少女など知らない」などと答えた場合

「本当か?」(意思の対抗判定を行う。失敗した場合は嘘がばれる)

・竜騎士との戦闘

少女がいるのが発見され、素直に引き渡さない場合は戦闘ですかね。

全力でガチでやっちまってください。

敗北した場合は→「3−8.旅の終わり」

・竜騎士をうまくやり過ごした場合

少女がいるのが発見されず、うまくやり過ごした場合は、

「もし、その少女らしき人物を見つけたらすぐにでも教えてくれ」

などと言って、竜騎士は去って行きます。

3−3−1.終了処理

ここは分岐します。決断点。

1)少女を守ることにした場合

何でそうするかを適当に語ってもらうが良いでしょう。

GMはそれがとても危険な道であることを説明しましょう。

「3−4.夢」

2)少女と別行動だが追跡し続ける場合

追跡する決意などを語ってもらうがよろし。

「3−4.夢」

3)少女と袂を別つことにした場合

完全に別行動するとか、少女を竜騎士に渡した場合など。

少女を竜騎士に渡した場合は、速やかに少女を殺します。
(抵抗する場合は竜騎士と戦闘をして分岐を選びなおす)

まあ、決着が付いたらここで終わりでいいでしょう。

「3−8.旅の終わり」


3−4.夢

今後どうするかを話し合って決めてもらいます。

議題1)最終目標はどうするか?

完全決定してもらう必要はありませんが、とりあえずこういう方向性で行こうかな、という概略は考えてもらった方がよろしいかと思います。

目標例1)誰も知らない遠くに行ってひっそりと暮す

目標例2)漂白の若き騎士が、少女のような存在も許される大義を掲げた国を興す

目標例3)最終的に少女のような存在は認められないので、自殺する心積もりで。ただ、その前に何かやっておきたいささやかな目標がある(海を見たいとか、何でも)。

目標例4)少女の力を借りて世界征服をする(笑)

その他、何でも。

議題2)長期目標はどうするか?

とりあえずどちら方面に向かうかを決めてもらいます。世界設定を参照してもらいつつ。

目標例1)北原
北原は魔族信仰が比較的盛んで、各国の抗争が続いているので、どさくさにまぎれて、という感じで。

経路:メジナ→マフ→北原に抜ける

目標例2)西の辺境の地
辺境の地ということでひっそり暮すにも、国を興すにも比較的向いている感じ。

経路:メジナ→ひたすら西へ

目標例3)南方の諸王国
王国がニョキニョキできたり消えたりする地域なので、国を興すにはいいかも。。

経路:メジナ→タンカー→ひたすら南へ

目標例4)ハジの荒野
ハジの荒野は「黄金の玉座」の力を求め、国を興す野望を抱いた者がよく訪れる地。
また、獣師同盟の暗躍する地でもある。
近場で国興しするならお勧め。ただし、スィネの近隣をすり抜けていく必要があるためリスキー。

経路:スィネ近隣→ハジの荒野

目標例5)東方辺境
東方辺境は人外の存在が棲む魔境である。奥地には龍の棲む都があるという。
世界征服を目指すか、ひっそり暮すか?

経路:スィネ→東方辺境

目標例6)近隣の龍王教団の村に潜伏
龍王教団の力を借りて逆襲を狙う感じ?

経路:龍王教団の村へ(「醜い傭兵」が知っている可能性高し)

目標例7)「運命の出会いをする騎士」の故郷に向かう
PCの中で唯一まともに頼れそうな親縁がいるのは「運命の出会いをする騎士」だけなので、その故郷に戻って助力を頼む感じ。
まあ、ひっそり暮すのも、国を興すのも、世界征服に乗り出すのも何でもやりやすいかも。

経路:故郷の設定による

目標例8)「故郷を失った吟遊詩人」の故郷に向かう
「故郷を失った吟遊詩人」の故郷を復興しようという方向。
基本的に何にもなくなってしまっているが、そのあと10年でどうなったかを想定する必要あり。

経路:故郷の設定による。スィネ周辺?

議題3)短期目標はどうするか?

まあ、ほぼ下記の3択でしょう。選択によって次章のスタートが変わります。

目標例1)メジナに向かう
スィネから逃れる方向。ただ、スィネの手の者も『龍の巫女』がそちらに逃げるであろうと予想しているため、移動速度がものを言うようになる。
北原や各辺境地帯に向かうのに向いている。

「3−5−1.関門」

目標例2)スィネに向かう
灯台下暗し作戦。東方辺境の人外魔境に潜るか、黄金の玉座を求めてハジの荒野に向かうか、というところ。

「3−5−1.関門」

目標例3)龍王教団の村に潜伏
ほどなくスィネの軍との抗争に巻き込まれる可能性高し。本気で反撃に出るつもりであればこの選択もありかと。
ただ、『運命の出会いをする騎士』『故郷を奪われた吟遊詩人』は龍王教団の敵と見なされるので、何らかの対策を打つ必要がある。

「3−5−2.敵の敵は味方?」


 第二章
 黒の古鏡:「汝の為すことはすべて、汝に返る。それは忘れるな」


3−5.因果応報

第1の試練。下記ハンドアウトをPLに渡してください。
(公開)のハンドアウトは全PLに見せてください。(非公開)のハンドアウトは該当PLだけに見せて、その情報をプレイ中に公開するかどうかは当人に任せるようにしてください。

【記憶を失った少女】−第2ハンドアウト(公開)

あなたは10年前死んだはずだった。

10年前あなたは龍を召喚した。そのために国が一つ滅んだらしい。
そのことは覚えている。

一つ疑問なのは、“何故それでも自分は生きているのであろうか?”

龍という途方もない存在を呼び出すためには、多大な代償が必要となる。
多くの場合、それは術者の死を意味する。
それは、たとえ「魔法の力」で龍を呼び出すべく選ばれた存在である
あなたであっても例外ではない。

にもかかわらず、あなたは今ここに在って、生きている。

何故、あなたはまだ生きているのであろうか?


「記憶不全」の運命は解決され、隠された運命「魔法の力」が明らかになりました。

 


【運命の出会いをする騎士】−第2ハンドアウト(公開)

昔、友人であった、(少し魔法かぶれの)ある貴族と『どんな国を作ろう?』という話をしたときに、その人物はあなたにこう問いかけてきた。

『無力ではあるが、世間的には悪と捉えられていて、
そんな存在があなたに助けを求めに来たとしたら、
あなたならどうしますか?』

『あなたにとって“大義”とは何ですか?』

『あなたの掲げた“大義”の下に集まった人々が、
あなたの失敗によって悲惨な目に遭ってしまった場合、
それについてどう思いますか?

例えば、無力ではあるが、世間的には悪と捉えられている存在を
あなたは助けることを選んだとして、その存在が実は何か恐ろしい力を持っていて
気まぐれでその力を発揮してしまい、そのせいで大変なことになってしまったとしたら
あなたはその“大義”の下に集まった人々に対して

「こうなることも覚悟の上で集まったのであろう?」

と言い切ることが出来ますか?』


下記の縁故を追加してください。

・友人(黒衣の貴婦人サドレナ=シュペール)(2以上)

 


【醜い傭兵】−第2ハンドアウト(非公開)

龍司祭ユローク(「記憶を失った少女」の主人/父親)は、10年前、少女に龍を召喚させ、一国を滅ぼした。
その際「守護者」の力で少女の魔法による反動ダメージを肩代わりして死亡。

「記憶を失った少女」がそのせいで精神に異常をきたしたため、不憫に思ったサドレナ=シュペールが龍司祭ユロークをよみがえらせた。

そして今回の村での彼の死。

龍司祭ユロークは2度死んだのだ。


下記の縁故を追加してください。

・龍司祭ユローク(0以上)

黒衣の貴婦人サドレナ=シュペール(0以上)

 


【故郷を失った吟遊詩人】−第2ハンドアウト(公開)

あなたの目の前に、あなたの仇、あるいはあなたの仇を呼び出すことが出来る少女がいる。

あなたの目的は何なのか。あなたの生きる意味とは何なのか。

あなたは10年前、黒衣の貴婦人サドレナ=シュペールという人物に会ったことがあり、今向かっている町(あるいは村)の近くに彼女が住んでいるらしいことを思い出した。彼女は魔法などへの造詣が深く、今回の件について何か参考になる意見をもらえるかもしれない。


下記の縁故を追加してください。

・「記憶を失った少女」(3以上)

黒衣の貴婦人サドレナ=シュペール(0以上)

 

3−5−0.前準備

GMは、第2章をプレイするにあたって手札の詰み込み行ってください。

6枚の手札全部を「追加行動」に「魔法」があるカードで揃えてください。

3−5−1.関門

町に入るときにチェックを受けます(税金を取られたり)。「記憶を失った少女」は素性がばれないか、気にする必要があります。

デフォルトの服だと到底一般人の着る服とは次元の違う派手な服なので、とてつもなく目立ちます。

3−5−2.敵の敵は味方?

龍王教団の村にやってきた場合、『運命の出会いをする騎士』『故郷を奪われた吟遊詩人』は龍王教団の敵と見なされるので、何らかの対策を打つ必要がある。あれこれいざこざが発生するでしょう。

3−5−3.黒衣の貴婦人

PCたちは黒衣の貴婦人サドレナ=シュペールと再会します。

彼女はPCたちを彼女の館(黒の館)に招待します。

補足:招待に乗らなかった場合

黒の館の地下に幽閉された龍司祭ユローク(魔獣と化している)が、檻を破って「記憶を失った少女」を連れにやってきます。
(その場合「位置の支配」の魔法で瞬間移動して連れ去る)

夢歩き等で来るよう呼びかけてもいいでしょう。

「記憶を失った少女」からすると

・死んだはずの御主人様/父親がなぜか自分に呼びかけてくる

という状況になります。

「記憶を失った少女」がラヴィオラの場合、

・主人が死んで途切れてしまったあの繋がった感覚が、なぜかよみがえっているのに気付く

という状況になります。

この辺のしがらみを全部捨てていくのは深淵的にあまりよろしくないですが、まあ、PC的にどうしてもそれは出来ない&うまく逃げおおせることが出来た場合は→「3−6.世界の焦点」

3−5−4.黒の館

黒の貴婦人サドレナ=シュペールの館。

・実験のため、黒剣の魔方陣(5レベル)が描かれています。刻印がある人は感知可能。魔法知識があってよく観察すれば識別可能。

・地下に魔獣(龍司祭ユロークの成れの果て)が閉じ込められています。知性の判定に成功した人は地響きやうなり声が聞こえたりします。

3−5−5.対話

サドレナ=シュペールは「運命の出会いをする騎士」らと会話をしたがります。

・議題:「記憶を失った少女」が人間でない件について

・議題:「記憶を失った少女」が守るほどの価値があるのかどうかについて
サドレナ=シュペール自身の意見としては、しかるべき試練を与え、それを乗り越えることが出来れば、守る価値はあると考えても良いという意見です。

・議題:「大義」について
『無力ではあるが、世間的には悪と捉えられていて、
そんな存在があなたに助けを求めに来たとしたら、
あなたならどうしますか?』

『あなたにとって“大義”とは何ですか?』

『あなたの掲げた“大義”の下に集まった人々が、
あなたの失敗によって悲惨な目に遭ってしまった場合、
それについてどう思いますか?

例えば、無力ではあるが、世間的には悪と捉えられている存在を
あなたは助けることを選んだとして、その存在が実は何か恐ろしい力を持っていて
気まぐれでその力を発揮してしまい、そのせいで大変なことになってしまったとしたら
あなたはその“大義”の下に集まった人々に対して

「こうなることも覚悟の上で集まったのであろう?」

と言い切ることが出来ますか?』

--
※「故郷を失った吟遊詩人」がいる場合
『大義の下に集まったがそのために酷い目にあってしまった人がどんな感想を抱いているか
実際に、当人に感想を聞いてみましょうか。
「故郷を失った吟遊詩人」様、
あなたは自分の国が龍によって滅ぼされたことについて
仕方ないことだと納得できましたでしょうか?』

ここで、「故郷を失った吟遊詩人」は、10年前龍を召喚するようそそのかしたのが、サドレナ=シュペールであることに気付く可能性があります。(「醜い傭兵」が過去の話をしたり、「故郷を失った吟遊詩人」自身が過去の記憶を呼び起こそうとしたり、夢歩きで超越幻視をした場合など。

その場合は、下記の「記憶を失った少女」への試練を試していなければ、時間を引き延ばして試練を試すよう誘導します。すでに試行済みである場合は、彼女はもう思い残すことがないので、罪の全てを白状し(自分の夫の死に納得をつけるため、こんな狂気じみたことを続けたという白状もする)、煮るなり焼くなり好きにするようにと言って降伏します。

「故郷を失った吟遊詩人」は、彼女を殺すなり、どうするなり、好きに選べます。

彼女の命を助けた場合は,以後の旅の助力をしようと彼女は申し出します。

--
※「記憶を失った少女」がいる場合
『御主人様/父様に会いたいですか?』

3−5−6.地下室

魔獣の肉体を持った、かつての龍司祭ユロークが閉じ込められています。

ユロークは超自然的な力によって「記憶を失った少女」の存在を感じ取っていて、彼女と一刻も早く会いたいと考えています。

--
一方、地下室の扉の鍵は黒衣の貴婦人サドレナ=シュペールが持っています。

サドレナは「記憶を失った少女」が生きるに値する存在かどうかを試したくてウズウズしています。

積極的に「記憶を失った少女」と魔獣(龍司祭ユローク)が再会できるように動きます。

なんなら、「記憶を失った少女」が御主人様/父親に自力ですぐ会えるように、扉の鍵を手渡しても構いません。

また、サドレナはユロークが魔獣の姿をしていることに対して謝罪をします。

魔獣を創造する実験を行っていたところ、魔獣に魂を与えるために死者の魂を呼び寄せたのだが、

たまたま龍司祭ユロークの魂を引き寄せてしまった。

これも運命の思し召しかもしれない。

そんな説明を彼女はします。

--
ユロークが「記憶を失った少女」と再会した場合、彼は命じます。

『龍を呼べ。村を滅ぼし、わしらを殺した憎き敵を滅ぼすのだ。
この世に信用できる者はお前とわししかおらん。他の誰も信用するな。全て敵だ。
龍を呼べ』

「記憶を失った少女」が抵抗する場合は意思で目標値15の判定に成功する必要があります。

『わしの言うことが聞けんというのか?』

それでも「記憶を失った少女」が抵抗する場合は意思で目標値15の判定に成功する必要があります。

「記憶を失った少女」が抵抗せずに龍を呼ぶ場合、(PC同士の親密度や「記憶を失った少女」の倫理観によって態度が変わるでしょう)、NPCは誰も止めません。PCで、誰か止めようとする者がいれば、「記憶を失った少女」とそのPCの対決となります。

対決の結果、「記憶を失った少女」が龍を呼んでしまうか、PCに「記憶を失った少女」が殺されてしまった場合は→「3−8.旅の終わり」

「記憶を失った少女」が龍を呼ぶことに抵抗するのであれば→「3−5−7.対決」

3−5−7.対決

「記憶を失った少女」があくまで龍を呼ぶことに抵抗する場合は、アクションシーンでの対決となります。

・龍司祭ユロークの行動指針

【せりふ】
『お前はわしに借りがある。
お前には、わしに逆らう権利などない。
おまえは何故、10年前、龍を呼んだにもかかわらず
生き残ることが出来たか考えたことがあるか?
わしが身代わりとなって死んだからだ。

わしを最初に殺したのはお前だ。
親殺しめ。

お前にわしに逆らう権利などない。
龍を呼べ』
(抵抗するなら意志で15の判定)

ユロークはとにかく「記憶を失った少女」に龍を召喚させようとひたすら説得します。
(毎回意志で目標値15の判定をする)

そうして世界を滅ぼすのが彼の願望です。
「記憶を失った少女」を肉体的に傷付けることもありえますが、それはあくまで彼女に龍を呼ばせるためです。
「記憶を失った少女」を殺す気はありません。

ユロークは他のPCらと戦う気もありません(というか、眼中にない)

「記憶を失った少女」がユロークに対して復讐とか世界を滅ぼすとかそんなむなしいことはやめて欲しいと説得することは可能で、「記憶を失った少女」が、自分は生きる意味を見つけた、とか、もう御主人様/父親の命令を聞くつもりはない。自分は自立して、自らの意思で自らのなすことを決めるのだ〜というような観点で説得すればOKになる可能性があります(意思判定で決着を付ける)。

・黒の貴婦人サドレナ=シュペールの行動指針

サドレナの行動指針は、「記憶を失った少女」が龍を呼ぶのを拒否しようとするのであれば、鉄の意志で、どんなことがあっても拒否し続ける意気を示してもらえたら、「記憶を失った少女」が今後生きる道を模索したとしても許していいだろう、と考えています。

というわけで、彼女はアクションシーンになって自分の手番がやってきたら、全力で黒剣の魔法「支配の声」を使って「記憶を失った少女」に龍を召喚するよう命じ続けます。サドレナ=シュペールは運命「魔法の力」によって、「支配の声」を1アクションで使えます。GMの手札には最大7枚の追加行動「魔法」のカードがありますので、6〜7連発で「支配の声」を「記憶を失った少女」にかけ続けることが出来ます。

実は、このアクションシーンでもっとも厄介な敵は、魔獣と化した龍司祭ユロークではなく、黒の貴婦人サドレナ=シュペールです。

【せりふ】
(アクションシーンで彼女に手番が回ってきたときに。GMはこのタイミングまで可能な限り手札を温存し続けること)

(「記憶を失った少女」に向かって。フリーアクションで下記のせりふを演説する(笑))

『あなた、ひょっとして自分のことを
何か特別な存在だと思って天狗になってはいませんか?
あなたの、その、浅はかな思い上がりを、
私がこれから打ち砕いて差し上げます。

もし、あなたが、私がこれから繰り出す
全ての攻撃に耐え切ったのであれば、
あなたがもし、
生きようとする道を選んだとしても、
それを認めましょう。

あなたのような危険な存在が
生きようとし続けることがいかに危険なことか
今から思い知らせて差し上げます。

さあ、龍を呼びなさい』(意志で目標値21で抵抗可能(10+刻印6+魔方陣5))

3−5−8.終了処理

・龍が召喚されてしまったり、「記憶を失った少女」が死んだりした場合

戦闘中に死亡するとか、状況を理解した上で「記憶を失った少女」が自殺することもあります。

それもよし。

「3−8.旅の終わり」

・龍司祭ユロークの説得に耐え、ユロークを倒すor説得し、黒の貴婦人サドレナ=シュペールの猛攻にも耐えきり、なおかつそれでも「記憶を失った少女」が生きようとする道を選ぶ場合

サドレナ=シュペールが生き延びていて友好的な関係になっていれば、彼女は「記憶を失った少女」に助力をしてくれます。

龍司祭ユロークが生き延びていて和解に成功していれば、彼は「記憶を失った少女」に助力をしてくれます。(状況によっては一緒についてくる話になるかも)

「3−6.世界の焦点」


 第三章
 赤の原蛇:「友よ、これがお前の言う理想というものか? 単なる愚考に過ぎぬ」


3−6.世界の焦点

3−6−1.回想

 

「記憶を失った少女」の一行は

敵に発見され、追い詰められ

とある地方のとある砦に逃げ込むことになった。

 

そこは人の住まぬ、打ち捨てられた砦。

ずっと以前に打ち捨てられたのか、

「記憶を失った少女」の噂を聞いて避難していなくなったのか

いずれにせよ、砦に残されたのは「記憶を失った少女」の一行のみ。

 

そして、砦の周辺には、

無数の、雲霞のごとくと例えるのが妥当なほどの

膨大な数の軍勢が取り囲んでいた

スィネの軍の手の者だけではなく、さまざまな国のさまざまな軍の者たちが

アリの這い出る隙間もないくらいにびっしりと

砦を取り囲んでいた。

 

【世界の焦点】

 

世界を滅ぼしうる最大最悪の敵であり、害悪である

「記憶を失った少女」を捕らえ、殺すために世界中の人々が

一致団結したのだった

 

PCの誰(1人もしくは複数?)がどんなヘマをしてこのように追い詰められるようになったかはPLに考えてもらってください。

とにかく、追い詰められてしまったのだ、ということで。

・PC同士が対決し合って別行動していた場合

砦に閉じ込められているのが「記憶を失った少女」側の陣営、対立陣営は取り囲む側になってプレイする感じになります。

・同行者

前章の魔獣(龍司祭ユローク)、黒衣の貴婦人サドレナ=シュペールが味方に出来ていれば同行している場合がありえます。

その場合は「位置の支配」の魔法で瞬間移動が可能なので要注意。

当然敵方にも魔道師がいるので、視界をふさいで魔法を使えなくするよう等の対策は打ってます。

魔法バシバシ使う展開になった場合は、魔法使い対策用の戦略を事前に練っておきましょう。

3−6−2.竜騎士

竜騎士ガラド=ランタール(およびその部下)が敵の軍の中から歩み出てきてPCたちに提案します。

・提案1
『「記憶を失った少女」を、生死を問わず、こちらに引き渡せば、

 龍の巫女を連れて逃げ続けたこれまでの罪は許し、

 ほかの者の命を救うことは保証しよう』

一応ここで話し合いたければ話し合うことは可能。

・提案2
『明日の朝まで回答を待つ。

 朝までに回答がなかった場合、

 もしくは「記憶を失った少女」の引き渡しを拒絶した場合は

 ただちにそれ相応の対応をする』

3−6−3.夜の出来事

『角の大公セイシュドーマ』が現れて「記憶を失った少女」に言う。

『おまえはこれまで作った者の中でも飛び切りの失敗作だった。

この世のほとんど全ての者がお前の存在を疎ましく思っている。

お前の持つその力が人々の負の感情を引き寄せるのだ。

見るがいい』

などと言ってくだをまく(笑)。

砦の外を見ると、星のように無数のたいまつの明かりが見渡す限り輝いている。

3−6−4.襲撃

翌朝になると砦の攻略が始まります。

うまい脱出アイデアが浮かばなかったら判定を端折って即終了にして構いません。

エンドの描写をPLに考えてもらいましょう。

・思い付かなかった場合
「3−8.旅の終わり」

・思い付いた場合

3−6−5.妙案

基本的に、PLがほかに良いアイデアを思い付いたらそれを拾うべし。

誰も思いつかなかったら下記のアイデアはスルーで。

脱出のアイデア例

・竜騎士ガラド=ランタールをうまく説得する

「故郷を失った吟遊詩人」が、「記憶を失った少女」の味方についている場合、
なぜ吟遊詩人が復讐せずにそういう生きる道を選んだかをうまく説明できれば説得の芽があります。

ほかに、「運命の出会いをする騎士」が「大義」を語るという手もあります。

他の人が良い説得アイデアを思いついたらそれでもよし。

内容的に納得いくものであったら、意志の判定で決着を付けてください。

「故郷を失った吟遊詩人」が説得する場合→目標値25

その他の人が説得する場合→目標値30

・「角の大公セイシュドーマ」をうまく説得する

「記憶を失った少女」が自分が生きても良い理由をうまく説得できたら

「角の大公セイシュドーマ」は説得されて助力してくれる可能性が出てきます。

他の人でも、良い説得材料を出せたら説得可能。

「記憶を失った少女」が説得する場合→目標値25

その他の人が説得する場合→目標値30

3−6−6.脱出行

作業判定で処理をしてください。

作業レベル:40
(敵を召喚値200の魔族相当と考えて)

危険度:危険

目標値:10(最終判定目標値は30)

判定能力値・技能:
逃亡方法による。

例)
走って逃げる→反応とか回避とか
秘密の通路とかを使って→反応とか隠密とか
深淵の小路を抜ける→夢歩き
魔法で逃げる→刻印

備考:
協力するPC同士で交代で判定することが可能。
反動は、協力するキャラクター同士で効果値を均等に割り振る。

3−6−7.終了処理

基本的に

「うまい脱出アイデアを思いつかなかったら問答無用で終わるからね^^」

ということで、シンプルかつ冷徹に処理してくださいましまし。

・PLがこの状況から脱出する手段を思いつき、成功すれば次章に続く。

「3−7.騎士の死」

・手段を思いつかない、または思い付いても失敗してしまった場合はエピローグへ。

「3−8.旅の終わり」

・龍を呼んだら脱出に成功したとしてもエピローグへ(召喚の代償として誰が犠牲になったかを決める)。

「3−8.旅の終わり」


 第四章
 白の翼人:「死は正しき終わり。終わりなくば、節度もまたなし」


3−7.騎士の死

最後の試練。下記ハンドアウトをPLに渡してください。

【記憶を失った少女】−第3ハンドアウト(公開)

平穏な日々がしばらく続きました。

そのときまでは。

 


【運命の出会いをする騎士】−第2ハンドアウト(非公開)

あなたは死にました。

あなたが気にも留めなかった敵があなたの元にやってきて、あなたは殺されました。

思い残したことは何でしょうか?


下記の縁故を追加してください。

・敵(0以上)

本章では「死霊」として参加することになります。

夢歩き中に語りかけることが可能です。

自分に縁故を振っている相手に話しかけると声が届くことがあります。

 


【醜い傭兵】−第3ハンドアウト(非公開)

あなたは運命によってまもなく死にます。


運命「死の予言」

どのようにして死ぬことになっているか、シチュエーションを考えてください。

 


【故郷を失った吟遊詩人】−第3ハンドアウト(非公開)

あなたは運命によってまもなく死にます。


運命「死の予言」

どのようにして死ぬことになっているか、シチュエーションを考えてください。

 

3−7−1.騎士の死

 「運命の出会いをする騎士」が、それまで気にも留めなかった「敵」によって殺され、死亡します。

 それを知った他のPCたちがどうするか、演じてもらってください。

3−7−2.第2の死

 「醜い傭兵」or「故郷を失った吟遊詩人」が、運命どおり、死亡します。
(どちらが死亡するかはランダムor協議の上で)

 それを知った他のPCたちがどうするか、演じてもらってください。

3−7−3.第3の死

 「醜い傭兵」or「故郷を失った吟遊詩人」のうち、生き残った方が、運命どおり、死亡します。

 それを知った「記憶を失った少女」がどうするか、演じてもらってください。

3−7−4.最期の時

 「記憶を失った少女」が「敵」に捕らえられ、処刑されることになります。

 最期の時、夢に龍が現れて言います。

『世界を滅ぼしたいか?』

・Yesの場合
龍が現れ、世界が滅びます。

 →「3−8.旅の終わり」

・Noの場合
  「記憶を失った少女」は「敵」に処刑され、死亡します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3−7−5.目覚め

「記憶を失った少女」が龍を呼ばなかった場合、彼女は長い夢から目覚めます。

仲間もみんな、生きています。(TRUE END)

「3−8.旅の終わり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 最終章
 白の原蛇:「一人一人が自由を持つ。それは誰にも縛られない」


3−8.旅の終わり

PLに好きに語ってもらってください。

龍が召喚された場合、世界が滅びます。滅びの情景を描写してください。

「記憶を失った少女」や他のPCが死亡した場合は悲劇的なエンドとなっていることでしょう。

奇跡的にTRUE ENDに到達してる場合はささやかながらもハッピーエンドとなります。