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双馬神


《はじめに》

《前提》

《キャスティング》

《展開》
 1.双子のテーマ
  1-1.双子の夢
  1-2.神殿の夢
 2.双子の二重奏
  2-1.死霊
  2-2.誕生の夢
 3.双子の神殿
 4.双子の呪い
 5.呪いの果てに

《あとがき》


《はじめに》

 これは、ファンタジーRPG「深淵」用のシナリオです。
 私が作ったにしては、かなりやさしめのシナリオで、「深淵」は初心者というマスターでもプレイ可能です。
 ただし、このシナリオは、PCの間に不和の種を蒔いて対立させるのが目的であるので、何も知らせずにやるとプレイヤーの不興を買う恐れがあります。
 気を付けてください。


《前提》

 馬の王サーボロには実は双子の兄弟がいました。
 このことを知っているのは本人と、教団の上層部のごく一部の人々だけでした。
 サーボロは自分の片割れが存命であることを知り、抹殺するために刺客を差し向けました。


《キャスティング》

◇PC
<白馬サイド>
 ・白馬を連れた少女
 【運命】「友なる動物」(縁故:白馬5)
 【運命(白馬)】「呪われた双子の片割れ」

<黒馬サイド>
 ・刺客
 【運命】「任務」(縁故:任務5)
 【縁故】「白馬を連れた少女」(1〜5)

<その他>
 適当にどちらかに縁故を割り振って、その味方になってもらってください。
 運命は「運命の出会い(異性/同性)」などが使いやすいでしょう。
 <黒馬サイド>の方が魔族がついている分強いので、少女の味方の方が多いというバランスにすると良いと思います。

◇NPC
・馬の王サーボロ


《展開》

1.双子のテーマ
 PCたちは夢を見る。

1-1.双子の夢
 プレイヤーを隔離して、「白馬を連れた少女」以外の全員に見せてください。
−−−−−−−−−−−−
 自分そっくりの人物が殺しにやってくる。

「双子というものは呪われている。
 本人が望もうと望むまいと、いずれ一方は他方を滅ぼすことになる。
 だから先にやられる前に、俺の方からおまえを殺しにやってきてやったのさ。」

1-2.神殿の夢
 「白馬を連れた少女」だけが見る夢です。
−−−−−−−−−−−
 白馬が荒野を駆けている。
 しばらく行くと大きな谷にたどり着く。馬は谷底に下りていく。
 壁面に神殿の入り口がある。
 白い馬は中に入っていく。
 中に何かいる。
 白い馬と色は違うがそれ以外はそっくりな(体の形、目、たてがみなど)
 黒い馬が立っている。


2.双子の二重奏
 特に何も起きないので、多分少女が夢で見た神殿に向かうことになります。
 (そう誘導してください。)

2-1.死霊
 神殿に向かう途中、枯れかけた木の辺りで1泊することになります。
 その木の下にはかつて双子に殺された人物が埋められていて、その死霊(召喚値20)が出ます。

※チャンス1
 <黒馬サイド>にとってはここが第1のチャンスとなる可能性が高い。
 いきなりクライマックスとなる可能性もあるので注意!

2-2.誕生の夢
 「白馬を連れた少女」だけが見る夢です。
−−−−−−−−−−
 馬の子供が産まれるシーン(異様に大きなお腹)。
 村人が集まっている。
 まず、黒い馬が生まれる。
 次に、白い馬が生まれる。
 『双子だ!』
 長老が重々しい口調で告げる。
 『恐ろしいことじゃ。双子はいずれこのままでは災いをもたらすであろう。』
 『どうすれば…』
 『先に生まれた者は悪魔となって災いをもたらすと言われておる。』
 黒い馬は連れ去られ、川に流される。


3.双子の神殿
 谷間にうち捨てられた神殿(ライエル)がある。
 獣の神の像、絵などがあり「白馬」に良く似た黒い馬の像・絵もある。


4.双子の呪い
 神殿の奥の間でPCたちは深淵に誘い込まれる。
 そして夢を見る。
−−−−−−−−−−−−
 馬の子供が産まれるシーン(異様に大きなお腹)。
 村人が集まっている。
 まず、黒い馬が生まれる。
 次に、白い馬が生まれる。
 『双子だ!』
 長老が重々しい口調で告げる。
 『恐ろしいことじゃ。双子はいずれこのままでは災いをもたらすであろう。』
 『どうすれば…』
 『後に生まれた者は悪魔となって災いをもたらすと言われておる。』
 白い馬は連れ去られ、川に流されようとする。
−−−−−−−−−−−−
 「白馬を連れた少女」だけがこの夢は巧妙な嘘であることがわかる。
 何もしなければ白馬は、本当に死ぬ。
 「白馬を連れた少女」がこの夢は嘘であることを言い、他のPCの説得に成功すれば、白馬を川に捨てようとしていた人物が正体をあらわす。
 馬の王サーボロその人である。

※チャンス2
 <黒馬サイド>にとって第2のチャンス。うまく説得できれば、戦わずして白馬を抹殺することも可能である。


5.呪いの果てに
 戦って<白い馬サイド>が勝てば、とりあえずサーボロの計略は阻止されたことになる。
 まともにやって勝ち目が無ければ逃げるのも良い。「夢歩き」技能で現実世界に逃げ帰ることが出来る。
 白い馬が死んだらそれはそれで仕方が無い。

 いずれにしろ、この双子の呪いの真実を知ってしまった者は、以後魔族の教団に付け狙われることになる。

※ラストチャンス
 <黒馬サイド>にとって最後のチャンス。いわゆる力押しというやつである。
 失敗した場合、

 「失敗した以上どうなるかわかっておろうな…」

 ということになる。


《あとがき》

 まるでクトゥルフのようなシナリオである。

 実際のプレイではこのあとが面白かった。
 この秘密を知った人物(青龍の魔導師)が恋人(白馬を連れた少女)の住んでいた村に帰ると、
 既にその村は滅んで、彼女も死んでいた。
 それどころか村は魔族の教団の秘密の巣窟となっていた。
 そのことを知った彼は、憎悪に狂って龍を呼び出し…という。

 彼女(死霊)が止めるのもきかず

 「これを預かってくれ」

 と、形見を友人に渡し、果てていったのはなかなかカッコよかった。

 

 p.s. ちなみにアフリカのどこかでは昔、先に生まれた方が悪魔の子とみなされたようです。

 …ということでまた。


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