場面集 -予兆-
『おまえの子供は
呪われている。』
〜呪いの言葉〜
「おめでとうございます。三月くらいというところでしょうか。あとふたつ季節が過ぎた頃に生まれるでしょう。」
「お身体を大切に。」
彼女がふと目を覚ますと、ベッドの傍らに小さな女の子がいるのに気がつく。
女の子はにっこりと笑うと、こっちにおいでよという感じでこちらをちらちらと見ながら、駆け出していく。女の子を追っていくと、だんだんと町の中の細い路地に入っていく。
右に左にうねうねと曲がりくねった道を抜けると、川のほとりに出る。女の子はその橋を渡ってさらに駆けていく。向こうに大きな城のようなものが見える。広場に出て、そこに広大な城壁が見えてくる。巨大な鉄の門が見える。
女の子はその門まで駆けていき、そのまま中にすり抜けるようにして入っていってしまう。城壁は、右にも左にも視界の届く限り続いている。
門は巨人のために造られたのごとく巨大でとても人ひとりの力では開けられそうにない。門に触れると、かすかに声がする。
「…熱い…熱い…苦しい……憎い…憎い…」
あなたは街角に立っている。ふと見ると、彼女が駆けていく。
うねうねを曲がりくねった路地を抜け、川に出る。彼女は端を渡って向こうに走っていく。あなたが橋を渡ろうとすると、突然、水飛沫をあげて巨大な存在が水の中から現れ、その大きな手であなたを捕らえる。
そいつは全身を包帯のようなものの巻かれた、巨人のような姿をしている。その魔物は、そぅっと、その大きな顔をあなたの耳に寄せ、囁く。
「おまえの子供は
呪われている。」
PCのひとりが領主の元に呼ばれる。
「実はおまえの能力を見こんで、ひとつ頼みがある。
私は今、病にかかっている。
もちろん医者には見せたが、治す方法はわからなかった。
このままでは、私の命も長くないだろう。
頼みというのは、私のこの病を治す方法を、おまえに何とか見つけ出して欲しいということだ。」
燃えている。町が燃えている。
家も、何もかもが壊され、焼け焦げている。周りには、ごろごろと、動かぬ死体が転がっている。その中には、あなたの父も、母も兄弟も、友達も、近所の見知っていた人も、みんないる。
みんながみんな、もはや、動かない。地響きがする。
見ると、炎に包まれた巨大な影が向こうに見える。
…夢に見たのとそっくりな街角に気が付く。
夢のとおりに歩いていくと、うねうねと曲がりくねった路地を通りすぎていく。夢と同じ曲がり角があって、そこを曲がってまっすぐ行くと川に出るはずだった。そこは行き止まりだった。
行き止まりに壮年の男が立っていて、こちらに気付いて振り向く。「誰だ?おまえは…。
名前は?どこに住んでいる?こんなところで何をしているんだね?」「私の名前はギトール。」
「…さあな、どうして私がそんなことに答えなくてはならんのかね?」…以後、そのPCはギトールの手の者に付けまわされることになる。
「わしの話を聞きたいじゃと?
(笑う)よかろう。
物語を語ってやろう。
まず何の話から聞きたい?」
またあの女の子が駆けていって、城の中に入っていく。
今度は門は開いている。
門の中に入ると、そこはいきなり大きな洞窟になっている。
その奥深くまで行くとさらに大きな扉があり、その中に全身が包帯に包まれた巨大な存在がいる。
女の子はその存在の側にいる。「この子をちょうだい。」
「この子は私のもの。この子は私がミリアと名付けた。だからこの子は私のもの。」魔物は、囁く。
「ヴェスパールという名の男に気をつけなさい。
いずれあなたたちの元にやってきて、あの子を殺そうとするでしょう。」
あなたは広場で大勢の人々に取り囲まれている。
人々はあなたに罵詈雑言を浴びせ、泥と石とを投げつけてくる。やがて、人々の間から老人が歩み出てくる。
その手には剣を持っている。「おまえさんは、呪われておる。
大勢の人間が死んだ。それはおまえさんのせいじゃ。
おまえさんにはその気はなかろうが、それは実際に起きてしまった。
わしらは二度と同じ災いを招くわけにはいかぬのじゃ。」「ここに剣がある。わしらとておまえさんを心から殺したいわけではない。
おまえさんのことを気に入っていた者もいた。
しかし、これは仕方のないことなのじゃ。
おまえさんも、納得のいかぬままむざむざと殺されるのは嫌じゃろう?
さあ、これを使っておまえさん自身の手ですべてにけりをつけなされ。
そう、その剣で、自ら命を絶つのじゃ。」
友人の部屋(家)の前に高価な衣装を身にまとった年老いた男が立っている。
あなたはその人物にかすかに見覚えがある。
むかし、あなたの親が、「あの人がこの町でいちばんえらい人ですよ。…」
と言っていた、その人物である。
その老人はこちらを見て言う。
『この中に、呪いがある。
ここにいる存在は、呪われている。』『本人が望もうと、望むまいと、それはただそこに在るだけで、災いと、不運とを呼び寄せてしまう。
だから、そうなってしまう前に、はやくその源を断たなくてはならない。』『さもなければ、再び大いなる災いが起こることになるであろう。
おまえからすべてを奪い取った、あの災いが、また再び起こることになるであろう。』
道端で占い師に呼び止められる。
「おぬしの身の回りに不運の黒い闇がまとわりついておる。
いずれ災いが、おぬしとおぬしの身の回りのものたちに降りかかるであろう。」「なぜそんなことになってしまうのか、知りたいかね?
しかし世の中には知らない方がいいというものもある。
もしそれを知ってしまえば、おぬしは二度と後戻りできなくなるやも知れぬ。
それでも、知りたいかね?」「おぬし自身の過去を訪ねるのじゃ。
そこに、すべての謎の答えがあるであろう。」