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<深淵戦術指南〜命がけの熱い戦闘をするための〜


<序論>

 「深淵」の戦闘ルールはカードを用いたかなり難解なものです。このルールがとても重いため、「深淵」では安易に戦闘を出来ない(時間がかかりすぎる)という弊害がありますが、そのやり方をちゃんと理解した上でプレイすれば、それは非常に奥深い戦術性に裏打ちされた実にスリリングな戦闘を疑似体験することが出来ます。

 「深淵」の戦闘は、単純に「武器の技能が高い」というだけでは測れないもっと深い戦術性をその「カード」の使い方に内包しており、「カードの使い方がうまい=戦闘がうまい」という図式でリアルな疑似体験と、上達の楽しみを提供してくれます。反面、どんなに武器の技能が高かろうが、カードの使い方が悪いとあっという間に生命の危機にまで追い詰められることになり、その辺りが戦闘ルールを難しくしてしまっている一因であります。

 基本的に僕がここでかなり穿ったルールの解説をしてきているのは、「ルールに則ってより深いスリリングなプレイをするためには、GMだけでなくプレイヤーもルールおよびその概念を理解した上でプレイすることが必要である」という考えに基づいてのことであります。将棋でも、ルールも定石もほとんど知らないような相手に勝ってもちっとも面白くありません。お互いある程度ルールを理解した上でプレイすればそれは実にスリリングで楽しいものになりますし、その上で勝てばもちろん嬉しいですが、負けても悔しい以上に相手の技量に感服してさらに得るものがあるという楽しみがあります。

 ということで、そういう領域での楽しみを追求するためにこの論は存在するというのを理解してください。まだGMもPLもそんな段階に至ってないのであれば、ここまでやる必要はありません。


ー総覧ーーー

<序論>

<「戦闘」ルール概略>
 「戦闘」の手順

<キャラクターメイク>
 1.能力値
 2.縁故
 3.技能
 4.武器選択
 5.防具選び

<非戦闘シーンのプレイング>

<戦闘シーンのプレイング>
 1)手札補充
 2)影響値攻撃
 3)イニシアチブ
 4)キャラクターのアクション・追加行動
 5)ダメージの処理
 6)手札の調整

<手札の有無が生死を分ける>
 1.手札の補充に関するルーリング
 2.手札の使用に関するルーリング
 3.手札を温存するプレイング

<その他各論>
 1.「攻撃」は手札1枚を「効果値」倍にする効率的アクションである
 2.分厚い鎧は少ないダメージカードを無効化してくれる
 3.「行動値」を高めたキャラの戦闘スタイル
 4.戦闘の基本はまず手札削りから

<各論・戦闘に関連のある運命>
 1.縁故5の運命
 2.「片手」「奪われた体」etc...
 3.「愛する者を滅ぼす予言」「親殺しの予言」「友殺しの予言」
 4.「自己犠牲」
 5.「強運の子供」
 6.「幸運なる生存の予感」
 7.「「死の予言」「悲劇の予言」「流れ矢の予言」
 8.「魔剣」
 9.「魔法の武器」
 10.「血に飢えた剣士」
 11.「魔法の力」
 12.「呪われた出自」「魔族の血」「龍の子ら」
 13.「血の渇き」
 14.「死の約定」
 15.「運命の器」
 16.「滅びの騎士」

<さらに各論:魔剣・魔族の恩恵・魔族の子>


<「戦闘」ルール概略>
「戦闘」の手順
 1)手札補充
  通常1枚補充する。

 ※特例
  ・行動「なにもしない」を選択(防御・回避もしてはならない)した場合、手札の補充+1
   (「その場で補充できる」というローカルルールを使っているところもある)
  ・「狂乱」状態のキャラクターは補充+1
  ・「魔剣」の所持者は魔剣を持っていれば補充+1
  etc...

 2)特殊効果。影響値攻撃など。

 3)イニシアチブ決定
  「行動値」順で決定

 4)キャラクターのアクション・追加行動
  フリーアクション…キャラクターは1ラウンドに1回好きなアクションを一つ行うことが出来る
  追加行動…手札を1枚捨てることで、手札に書かれている追加アクションを一つ行うことが出来る

  移動…移動および通常アクション
  攻撃…攻撃およびそれに付随するアクション
  防御…防御およびそれに付随するアクション
  回避…回避およびそれに付随するアクション
  魔法…魔法・会話およびそれに付随するアクション
  その他…赤い札に書かれている特殊なアクション

  応援…応援することで相手に手札を1枚渡すことが出来る
  「何もしない」…何もしない代わりに次の手札補充が+1される

 5)ダメージの処理
  <1>相手の「行動値」を目標値に攻撃技能で判定。
  <2>ダメージカードを出す
  <3>防御・回避・鎧ではじく・そのままくらうのどれかを選択
  <4>生命力0未満になった場合は「死亡+1アクション」「生死判定」のどちらかを選ぶ。
   ※「狂乱」状態の場合、生命力0未満になってもそのまま行動できる

 6)手札の調整
  手札が上限を超過していた場合、余分な手札を捨てる。(通常6枚)

 ※特例
  ・運命「片手」:手札の上限−1
  ・運命「自己犠牲」:手札の上限なし
  etc...


<キャラクターメイク>
 深淵でまじめに戦闘しようとする場合、キャラメイクの段階から注意してプレイする必要があります。以下はその注意点。

1.能力値
<体格>
 深淵において「体格」はほとんど不要な能力値です(笑)。基本のテンプレートでも体格の高いキャラクターはほとんどいません(騎士ですら6しかない)。
 体格が必要とされる状況は、

・「毒」「病魔」などに襲われたとき
・自然治癒(体格の判定値/1日)
・運命による減少(3点くらい減る)
・「生命力」が増える

の以上3つくらいです。

 「毒」「病魔」などに襲われたときは、どうせ普通に判定しても成功しないので(笑)、手札・縁故などを使用して無理矢理成功させることになるでしょう。その際1点くらい判定値が高かろうが低かろうが、ほとんど影響はありません。
 「自然治癒」は何度も戦闘するときに地味に効いてきますが、深淵で遭難ども戦闘することは少ないでしょうし、応急手当(生物知識(人間))や魔法の治癒で十分以上に代用できます。
 「運命」による減少はどうしようもありません。3点くらい減る場合があるので、それを見越して4点以上にしておくという手もあるにはあります。
 「生命力が増える」に関しては、武器がいろいろ持てるようになって行動値も増える「筋力」にまずポイントをそそぎ込んだ方がお得です。

 以上より、「体格」は必要最低限のポイントがあれば事足ります。6が安全ですが、虚弱体質ということでこの能力値を捨てるなら3とか1くらいにするというのも手でしょう。ただ体格はいきなり「体格を1点減らす」というたぐいの魔族の影響値攻撃なども存在するので、せめて3点くらいは欲しいですかね。

<筋力>
 筋力は戦闘をする上において最も有益な能力です。筋力が影響する事柄は以下の通りです。

・「生命力」が増える
・判定値の分「行動値」が増える
・より強力な武器を使用できる
・より分厚い鎧を着られる

 筋力によって使える武器・鎧が決まりますので、戦闘スタイルを考えながら筋力を決めることが必要です。筋力/3(端数切り捨て)が「行動値」にプラスされますので、筋力は3の倍数にすると効率が良くなります。

<反応>
 反応は「筋力」と並んで戦闘で重要な能力です。反応が1点増えれば「行動値」が1点増えます。「行動値」はイニシアチブの値であり、また被攻撃目標値でもあります。「深淵」の戦闘では先攻を取った方が圧倒的に有利です。また、行動値が高ければ攻撃を当てるためだけに相手に手札・寿命を消耗させることが出来るのです。

<知性>
 戦闘ではほとんど使いません。非戦闘シーンでたまに使うくらいでしょう。「体格」同様最低限あれば充分かと。一応知性が高いと「精神力」が増えます。が、「意志」を増やしても同様ですので、戦闘中に使う機会の多い「意志」をまず増やした方が効率的でしょう。

<意志>
 魔族の影響値攻撃、縁故などのしがらみに抵抗するのによく使用します。「精神力」も増えて気絶しにくくなりますので、ある程度ポイントを割り振っておいて損はないでしょう。

<社交>
 「社交」自体を戦闘中に使用することはほとんどありませんが、あらゆる判定に使用できる「縁故」の総計を増やすために「社交」を増やすのは非常に有益です。
 戦闘で有益な縁故は、

・「目的達成に関わる縁故(5点あると嬉しい)」
・「武器への縁故(普通は3点)」
・「武器技能への縁故(3点まで)」

です。
 「目的達成に関わる縁故(5点あると嬉しい)」は、運命で1〜2個くらいは否応なしに出来るでしょう(笑)。
 「武器への縁故(3)」はとりあえず振っておくだけで武器の判定に修正が来ますのでお得です。
 「武器技能への縁故(3点まで)」は、武器技能をそもそも6以上に上げる必要があります。

2.縁故
 縁故は「寿命1点+セリフ」でいつでも判定に修正値を加えることの出来る非常に便利なパラメータです。戦闘をする場合には、あった方が得です。寿命に余裕があるなら手札温存のためにガンガン使った方が後々有利になるでしょう。上でも書きましたが、戦闘上有効な縁故は以下の3つです。運命などで得られなかったら自己申告して縁故を割り振るといいでしょう。

・「目的達成に関わる縁故(5点あると嬉しい)」
・「武器への縁故(普通は3点)」
・「武器技能への縁故(3点まで)」

 「武器への縁故」があると、夢歩き中でもその武器を使えるようになりますので、夢の中で魔族に会うときなどには有効です。

3.技能
 戦闘技能は主に武器選択に関わってきます。使いたい武器に合わせて武器技能を選ぶといいでしょう。テンプレートでプレイする場合でも、戦闘スタイルを考えて武器を変更した方がいいかもしれません。他に、戦闘に間接的に関わってくる技能などもあります。

「メイン武器技能」
 戦闘系キャラなら5点は欲しいです。戦闘一筋にするなら8点。非戦闘系でいざというときだけ戦えるようにしたいなら3点くらいあれば十分でしょうか。もちろんこの武器には縁故も振って増強しておくとお得です。

「盾技能」
 片手武器で戦闘する場合には盾も使えるようにしておくとよいです。盾を使うメリットは、相手の攻撃で「武器の硬度にダメージ」が来ても、壊れるのは盾だけで済む点です。盾は普通の武器より硬度が高いので壊れにくくてさらにお得。ただ、判定値をメインの武器と同等くらいに上げておかないと「メイン武器で防御した方がまし」ってことになってしまいます。

「近接武器技能」
 「短剣」「鎧通し」などの技能。メイン武器が壊れたりして、密着しての戦闘になった場合などに効いてきます。余り使わないので技能2レベルくらいあれば十分でしょうか?

「格闘」
 武器を落としても攻撃できるというのが強みです。「戦拳」にすれば効果値1打でちゃんとダメージが行きます。「狂乱」したときなどは武器を拾わずにそのまま殴りに行っちゃったりしますので(笑)、いざというときのために身に付けておくとお得です。ただ修正が0なので、相手に当てるために技能が3以上は欲しいでしょうか。

「弓」
 遠距離から先制するのに使えます。後衛キャラが持ってるといいかも。後衛キャラなら防御の必要がないので、全力で攻撃に回して射続けられます。

「回避」
 分厚い鎧を着ているときにはほとんど役に立ちません。薄い鎧にして行動値を高くしているなら、いざというときの致命的打撃回避のために使えます。3〜5くらい欲しいかな。

「乗馬」
 騎馬戦闘するキャラなら欲しい技能です。そこそこ使えれば十分と思います。2以上あれば十分かな?

4.武器選択
 武器選択は戦闘の要です。スタイルに応じて武器の選択をしましょう。

4−1.刀剣類
 刀剣類は全体的に効果値が高めで強力です。

<お勧め武器>
「長剣」−片手武器で行くならこれが安定して強力です。運良く「魔剣」の運命が出たときには、そのまま使える可能性が高いのでなおお得(笑)。ぜひ盾も持ちましょう。
「片手半剣」−状況に応じて片手/両手を使い分けられるのが利点です。
「大剣」−両手武器の戦闘スタイルを選ぶならこれが最強です。武器が壊れるのが怖いですが、硬度が30もあるので比較的壊れにくいです。それでも壊れたら諦めましょう(笑)。

4−2.斧・棍棒類
 「打」で相手の精神力を削れるのがじわじわ効いてきます。

<お勧め武器>
「戦斧」−片手で使うならいちばん安定してるかと。投擲もできる。
「斧槍」−リーチが長い点がよい。
「星球棍」−安定して強い。リーチも長め。

4−3.槍類・貫通武器
 リーチが長いのと、様々な戦闘スタイルで使える点、騎士突撃が出来る点が利点です。貫通武器の利点として、3/4などのようにダメージのカードの中から好きなの選べるというのがあります。逆に言うと、その場面で使いたくないダメージをキャンセルできるというのが重要。

<お勧め武器>
「中槍」−片手で使うならいちばん安定してるかと。投擲もできる。
「大槍」−リーチが長く、ダメージも大きめ。
「突撃槍」−騎士突撃をやるなら最強。基本的に使い捨て。リーチが長いので技能が低くても十分役立つ。

4−4.飛び道具
 離れたところから先制できる点がよい。後衛なら防御の必要がないのでガンガン撃てる。

<お勧め武器>
「短弓」−準備1が大きい。フリー+手札補充1で毎ラウンド撃つことも可能。
「大弓」−最強の弓。準備2。
「石弓」−命中にプラス修正が付く点がよい。威嚇で1発撃つくらいですかね。準備6。

4−5.盾
 防御で使うものだが、いざというときには殴れる。これが重要。

<お勧め武器>
「円形盾」−防御の修正が+6で高いのがよい。
「騎士盾」−防御力が高くて頑丈なのがよい。
「方形盾」−地上戦で盾を使うならこれが最強。

4−6.その他
 その他の特殊武器。

<お勧め武器>
「戦拳」−籠手としても使える。何より効果値1打なのが良い。
「短剣」−標準装備武器だが、投擲するとそこそこ強かったり。
「鎧通し」−密着戦で非常に強い。
「白刃鞭」−リーチが長いのが強み。守れないので盾を持ちましょう。
「投擲武器」−いざというときの予備の武器としては使える。

5.防具選び
 防具で注意すべき点は以下の通り。

・吸収値
 吸収値のポイントだけ「行動値」が減少してしまうので、思いっきり薄い鎧にするか、回避は捨てて分厚い鎧にするかの選択になる。中間をとって吸収値5くらいの鎧でも十分ダメージは止まる。

・ペナルティ
 吸収値5以上の鎧を着る/2重鎧を着る場合には確実に付いてきます。隠密行動が取れないのはいいとして、回避がほとんど出来なくなる点が痛い。ペナルティが付くくらいなら、回避する必要がないくらい分厚い鎧にするのがよいかと。

・防御部位
 基本的に「頭」「胴体」に大きな打撃が来ることが多いので、その辺りはきちんと防具を付けるべき。最低でも「叙事詩に残る一撃」を止められるようにどこか1カ所には防具を付けましょう。見た目を考えるなら“かぶと”は外して胴体に皮服が最低限の身だしなみでしょうか?

・1重/2重
 1重鎧か2重鎧かが重要です。2重鎧ならまず打撃が抜けることはありません。1重鎧だと貫通一つで抜けてくる可能性があります。ただ、2重鎧だとペナルティがとてもきついので、回避は不可能と割り切ってプレイする必要があるでしょう。

・かぶと
 かぶと(大)だと知性の判定に−3付きます。敵の察知に失敗してひどい目に遭うこともあるかも(笑)。

・筋力
 2重鎧を着るときには筋力がものをいいます。そうでない場合にはほとんど考慮する必要はないでしょう。


<非戦闘シーンのプレイング>
 「深淵」では戦闘開始時に1枚でも多くの手札を持っていると有利ですし、その時に戦闘で有効な手札を保持していると有効です。非戦闘時というのは、来るべき戦闘に備えて手札を調整するためにあると言っても過言ではありません。
 いつ、戦闘が始まりそうかを読みましょう。戦う前からそのための準備は始まっているのです。

 基本的に考慮すべき点は

・有効なダメージカードを残しておく
 「貫通」
 「手札を減らす」
 「大ダメージカード」

・色数の大きなカードを残す

・「作戦会議」
 PC同士手札の交換が出来ます。協力態勢にあるなら、あらかじめ交換して手札を整えておくと良いかと。


<戦闘シーンのプレイング>
 戦闘シーンにおけるプレイングを詳細に解説していきます。

1)手札補充
 手札補充します。ここで欲しい追加行動・ダメージなど来るとラッキー。

2)影響値攻撃
 魔族相手の戦闘ではまず最初に影響値攻撃が来ます。失敗すると致命的な影響を被る場合があります。ここで手札を1枚くらい削られる。

3)イニシアチブ
 「行動値」の高い者順です。通常のイニシアチブより早く/遅く行動するためには、追加行動で、手札を余分に1枚消費する必要があります。何が何でも相手を止めたい場合には、無理矢理早く行動することが有効な場合があります。

 何はともあれ「深淵」の戦闘では先手を取った方が圧倒的に有利です。行動値は高いに越したことはありません。

4)キャラクターのアクション・追加行動
4−1)フリーアクション
 フリーアクションは、どんな行動でも1アクション取れます。
 手札の追加行動は手札に書かれた行動しかできませんし、相手の攻撃で手札を失って、やるつもりの行動が出来なくなってしまう場合があります。「今いちばん採りたい行動」のためにフリーアクションを使うのが有効です。「移動」してどこかに行きたいのか、「攻撃」でとどめを刺したいのか、防戦一方で「防御」したいのか。
 相手の方が行動値が高い場合、一方的に攻撃を受け続けることになりがちですので、フリーアクションを「防御/回避」に回すのは極めて有効です。

 ラウンド終了時までフリーアクションを持ち越してもそれは消えてしまいますので、その点だけちょっと注意。

4−2)追加行動
「攻撃」
 攻撃は攻撃の1アクションを武器の「効果値」倍のカードに変換する非常に効率的なアクションです。戦闘開始時にありったけの「攻撃」で相手の手札を削るのは「深淵」の戦闘における基本戦術です。味方が多くて余裕がある場合には、相手の手札が尽きたところに「攻撃」を連続でたたき込んで、とどめを刺すという手が使えます。

 ここの判定で「縁故」を使用して無理矢理当てるとか、+10命中にするとかが有効です。「縁故」を使えば手札消費しませんし。

−攻撃修正−
 以下のような状況で修正値が付きます。積極的に狙ってみると良い。

・背後を取る:命中+3
・馬上からの攻撃:命中+3
・馬上の敵への攻撃:命中−3
・転倒した敵への攻撃:命中+3
・見えない存在からの攻撃:命中+6
・見えない敵への攻撃:命中−6

「防御/回避」
 「防御」は武器の判定値をそのまま使えるので比較的安定して使えます。衝撃ダメージや武器そのものへのダメージは打ち消すことが出来ません。
 「回避」は「演出」をのぞく全てのダメージを打ち消すことが出来ますが、判定値が最高でも5という点がネックです。いざというときに手札/縁故を使って無理矢理避けるというのが基本的な使い方になるかと。

 戦闘中に回避も防御もない状態になると、致命的な打撃が来たときに即死する危険があります。最低1枚は手札に持っておきましょう。手札にない場合にはフリーアクションを温存して防御に回すのが得策です。

 「防御/回避」の判定で「縁故」を使用するのは極めて有効です。使っただけ手札消費を抑えられると理解してください。寿命が少なくなって抜き差しならない状況では、手札を温存するか、寿命を温存するか、非常に悩ましいところではありますが(笑)。

「移動」
 その他アクション。相手に接近するとき、逃げるとき、飛んでしまった武器を拾うときなどに使えます。しゃべるのにも使用可能。「応援」もできる点が重要。

「魔法」
 魔法使いにとっては必須カードです。「応援」に回して味方に手札を渡すときにも使えます。

4−3)「何もしない」
 行動値の低いキャラクターは、周りの状況を見てから「何もしない」というアクションを採れる特権を持っています。後衛キャラなら「何もしない」を選んで1枚余分に補充しつつ、あとで「応援」して他の人に手札を回すというプレイングが有効です。

5)ダメージの処理
 ダメージを見てからどう対処するか考えるのが「深淵」における戦闘のポイントです。考慮点は「どの対処法がいちばん消費手札が少なくて済むか?」です。

「演出」
 どうしようもありません。くらうしかない。

「衝撃」
 防ぐには「回避」しかありません。精神力ダメージが多いので要注意。

「武器」
 完全に防ぐには回避しかありません。受けた武器が壊れる可能性があります。盾で受けるならあまり気兼ねする必要はないかも。

「貫通」
 「防御」「回避」で打ち消せます。鎧が効果を発揮しないので要注意。手札・フリーアクションのない時に「貫通」でダメージが抜けると対処不能となります。

「(部位)」
 着ている鎧の部位へのダメージなら鎧の吸収値が効きますし、手札を1枚捨てればダメージを1枚打ち消せます。分厚い鎧なら、少ないダメージカードは打ち消す必要がなくなります。

−特殊ダメージ−
 相手にアクションを消費させられるので極めて有効です。
「転倒」…筋力の判定12に失敗すると転倒。起きるのに1アクション。NPCはだいたい成功する(笑)。
「武器を落とす」…武器を拾うのに1〜2アクション。

6)手札の調整
 手札がMAXをオーバーするのは、最初のラウンドとボーっと状況を見ている後衛くらいのものでしょう。人が戦闘しているときに後ろでボーっと見てて手札を整えるのもいいですね(笑)。


<手札の有無が生死を分ける>
 
「深淵」TRPGであるのに加えて、カードゲームとしての側面もあります。特に戦闘は、手札の運用がその生死を分けます。

1.手札の補充に関するルーリング
 ・場面の切り替わり時にMAXまで手札が補充
 ・夢歩き成功時に1枚補充
 ・戦闘時、ラウンドの開始に1枚補充
  →1ラウンド「何もしない」と1枚余分に補充
  →「狂乱」時、1枚余分に補充
  →「魔剣」を所持している場合には1枚余分に補充
 ・寿命4年消費で1枚補充
 ・「作戦会議」非戦闘時に仲間同士で手札の交換が出来る
 ・「応援」1アクションで相手に手札1枚渡せる

2.手札の使用に関するルーリング
 ・手札1枚使用で1アクションプレイできる
 ・鎧を着ている場合、手札1枚捨てることでカード1枚分のダメージを打ち消せる
 ・「防御」「回避」するには手札の追加行動か、フリーアクションが必要
 ・手札の「色数」だけ達成値にプラスできる
 ・+10命中は効果値+1
 ・+10防御は防御+1
 ・+10詠唱は作業+1
 ・「回避」はダメージを全て無効にする(「演出」除く)
 ・「防御」は「部位へのダメージ」「鎧へのダメージ」を無効にする

3.手札を温存するプレイング
 手札を、達成値を上げるために使用することはよくあります。逆に言うと、達成値を上げたいときに手札以外の効果を使えばその分手札を温存できることになります。通常シーンでは手札がないと即死に繋がるわけではないのと、次の場面になれば補充されるという気安さから手札使用を主体にプレイすることが多いと思われますが、戦闘中には1枚でも多くの手札を保持し続けることが死ににくさに繋がります。手札は回復するのに対して寿命は回復しないので、通常シーンではその使用を見合わせることが多いですが、戦闘シーンでは死にたくなければ寿命よりも手札の方が重要となる場面が多々ありますので、プレイングは全く逆になり、手札温存のために命を削るという場面が多くなります。
 その他、各種の達成値プラス効果も結果として手札温存に繋がります。
 戦闘において「深淵」での理想的なプレイは、

・「手札」はすべて「追加アクション」「鎧効果」にのみ使用する
・達成値ブーストは「縁故」「寿命」「状況を有利にするプラス修正」でまかなう

です。
 ただ、このスタイルで戦闘するとどんどん寿命が減っていってしまいますので(笑)、敵がザコばかりの軽い戦闘なら手札をあまり気にせずにプレイしても構わないかもしれません。しかし不慮の事故というものはあるもので(笑)、ザコ相手でも「叙事詩に残る一撃」+「貫通」が来てしまうこともありえます。やはり無駄な戦闘はしない方がいいでしょう。

 以上の論点から以下に手札以外で達成値にプラスできる各種のプレイングを箇条書きにします。

・「縁故」の使用。縁故5なら、寿命−1で達成値+5
・寿命1年消費で達成値+1
・馬上戦闘は地上の相手に対して+3
・敵の背後を突くと+3
・透明だと+6

 それからもう一つ、あまりにベーシックな話なので忘れがちですが、「後衛に下がる」「いったん逃げる」というのも有効です。前線から引いて後ろで攻撃を受けないところにいれば手札を温存するのは用意です。味方がある程度の人数いる場合には、前衛がひたすら防御で耐えている間に手札を確保するという戦術が使えます。


<その他各論>
1.「攻撃」は手札1枚を「効果値」倍にする効率的アクションである
 ダメージカードが全て有効とは限りませんが、すべて有効だった場合

・「防御」なら同等の効果があります(それでも「演出」「衝撃」「武器」は打ち消せない)
・「回避」は「防御」より効果は優秀ですが、判定値が低いのがネックです。成功させるのにカード1〜2枚余分に消費する必要が生じるでしょう。
・「鎧効果」は、効果値1対手札1枚なので、文字通り手札1枚の「攻撃」が「効果値」倍の手札に変換されたと考えることが出来ます。

 以上から解るように、ダメージ処理に関しては基本的に攻撃側有利になっています。しかも、攻撃で相手の手札を損失させてしまえば、手札が減ることによって反撃の芽を摘むことにもなります。ということで、深淵の戦闘は先手を取った者が圧倒的な有利に立つようになっています。特に1対1の戦闘ではその挽回の余地は皆無に近いと言ってもいいでしょう。
 ということで、イニシアチブを取るために「行動値」が1点でも高いキャラクターをプレイするのは非常な有利を生み出すことになります。

 実際は効果無効なダメージも多いので、それほど効率がいいわけではありませんけど。ただ、効果値の高い武器ほどランダムでも有効なダメージが出る確率が高まるので、戦闘をまじめに考えるならそのキャラクターの持てる最も大きな効果値の武器を持たせてあげるといいでしょう。

2.分厚い鎧は少ないダメージカードを無効化してくれる
 分厚い鎧を着ると行動値が下がってしまうのですが、その反面物理的なダメージの大半を無効化できるようになります。吸収値最大8の鎧を身につけた場合、「叙事詩に残る一撃」や「赤い札」などのクリティカルなダメージを除けば、抜けてくるダメージは10か15しかありません。10ダメージ来ても2点しか抜けませんからほとんどかすり傷で済みますし、15ダメージでも数撃までなら十分耐えられます。しかも、深淵のカードのダメージは有効で強力なものは多くありません。

 よって、手札も何も使わずに相手の攻撃をまるまる無効化できる可能性があるというわけです(それも結構高い確率で)。

 鎧を着ていると行動値が下がって当たりやすくなるのに加えて、ペナルティで回避しづらくなるというデメリットがありますが、普通のダメージなら攻撃が当たろうが「回避」も「防御」もする必要がないので大したデメリットとはなりません。

 鎧を着ていて怖い状況の一つは大ダメージカードが来たときです。これは対処が比較的容易で、貫通してなければ「鎧効果」で手札1枚捨てれば止められます。
 少し怖いのが「貫通」が来たときでしょうか。これは鎧を無効化してしまうので、ダメージがごっそり抜けます。これに対しては「防御」すれば止めることが出来ます。メインの武器の判定値は高めに設定してある場合が多いので、手札があれば止めることはたやすいでしょう。もう一つの手としては2重鎧にするという手です。ただ2重鎧にする場合には「回避」はできないものときっぱり諦める必要があります。
 最後に最も怖いのは「衝撃」で精神力を削られるケース。「防御」でも「鎧効果」でも止まりません。「回避」しかありませんが、分厚い鎧を着ていると(特に2重鎧の場合)、回避にペナルティをくらっていてほとんど避けるのは不可能となります。対策としては「鎧は一重・そこそこの吸収値の鎧にしていざというときだけ回避できるようにする」か、「精神力を増やしておく」か、その両方くらいでしょうか。

 あと例外として「魔剣」でペナルティ0の魔法の2重鎧でも得られれば最強なんですけどね。「黒の騎士」なんかはそういうずるい鎧着てますが(笑)。黒剣の魔導師に召喚して貰ってあの折れない突撃槍とペナルティ0の全身二重鎧だけもらえたら、下手な魔剣を貰うよりよっぽど役に立つと思いますね(笑)。

3.「行動値」を高めたキャラの戦闘スタイル
3−1.鎧の選択
 「皮服」を着ましょう。以上(笑)。

 「回避」を有効に使う必要があるので、ペナルティの付いた鎧は着てはいけません。大ダメージが来た時に鎧で弾きたいので、特に欲しい防御部位は「胴体」「頭」です。「すねあて」「籠手」も手足に15ダメージ来るカードが一枚あるので、たまに役立ちます(笑)。
 「防御」も当然するので武器の判定値を高くしておく必要があります。

 基本的に「防御」「回避」のみでしのごうというスタイルですね。鎧は吸収値よりも「鎧効果」で手札で弾くのがメインとなります。

3−2.「行動値」はいくつ欲しいか?
 「行動値」が高いことによる利点は以下の2つです。

<1>イニシアチブを取れる
<2>攻撃が当たりにくくなる

 まず<1>についてですが、これはあくまで相対的なものです。イニシアチブが取れればいいですが、世の中上には上がいますので、どんなに高くしているつもりでも相手の方がもっと速いという状況になることはありえます。これは相手との巡り合わせも関係していますので、あまり確かなメリットとは言いがたいです。

 一方<2>の方ですが、これは確実なメリットとなり得ます。
 「深淵」は「縁故」や「寿命」や「手札」を使って無理矢理成功させるゲームですので、どんなに行動値が高くても攻撃を全くくらわないということはありません。「行動値」を高くする戦略で狙う効果というのは、「命中させるのに相手に手札を使わせる」ところにあります。で、計算してみますと

「相手の攻撃の判定値+7(2D6の期待値)」

より高い行動値を持っていれば相手に手札を使わせることが出来ます。さらに具体的な判定値がいくつかを列挙しますと…

「呪われた天才剣士」の魔剣…13
「傭兵」の片手半剣…11
「騎士」の騎士槍…10

というくらいですか。これを上回るような判定値を持っているのはよほど強力な魔族の眷属か、上級の力をあまり失ってない魔族くらいのものです。

 ということで、欲しい「行動値」の値としては18くらいあればかなり強いと言っていいでしょう。テンプレートでは「呪われた天才剣士」「半妖精の傭兵」辺りがそのまま素で行動値18あります。「呪われた天才剣士」はさすがに鎧なしではきついので、せめて皮服くらいは着せてあげたいところですね。あとは「騎士」系のテンプレートで2重鎧を捨ててペラペラの皮服に変えると行動値18くらいになりますでしょうか。

4.戦闘の基本はまず手札削りから
 どんなに大ダメージをくらって瀕死であろうが、「防御」「回避」「鎧効果」で有効なダメージをキャンセルしてしまえばいくらでも耐え続けられるのが深淵の戦闘です。「叙事詩に残る一撃」であろうが、皮服1枚着て手札1枚あれば止まります。
 深淵で本当に致命的なダメージを与えるためには、まず防御行動を封じる必要があります。それには相手の手札を無くさせるのがいちばんです。手札がある限り、深淵ではどんな攻撃も無効化される可能性があります。具体的に手札を削る手段としては以下の方法があります。

・手札を減らす効果のあるダメージを付ける(「演出」だとなお良い)
・「防御」「回避」し辛いように命中の達成値を上げる
・とにかく「攻撃」し続ける(笑)

 相手の手札が無くなると、相手がフリーアクションを残していない限り「防御」「回避」が出来なくなります。あと、できることと言えば、寿命4年払って手札1枚引いて「鎧効果」で致命的ダメージを弾くくらいです。ここで「鎧効果」が使えないように「貫通」を付けて大ダメージを与えるか、「衝撃」で精神力を削るかといった辺りが有効ですね。


<各論:戦闘に関連のある運命>
1.縁故5の運命
 とりあえずこの運命があれば寿命1年で判定+5確定です(w。縁故3、4の運命の使えないことはないです。機会があればGMの許可を得て縁故を増やさせて貰うといいでしょう。

2.「片手」「奪われた体」etc...
 圧倒的不利を被りますがどうしようもありません(^^;。キャラメイク時だったらGMの許可を得て却下して貰うのもいいでしょう。「運命に苦労して抗う」のが楽しいなら、こういう運命こそうってつけです(笑)。

3.「愛する者を滅ぼす予言」「親殺しの予言」「友殺しの予言」
 有効な縁故を得られるのに加えて、もし標的が運命の相手なら、いざというときにわざと大失敗して「自動命中+貫通+効果値+1」の効果を得られる素晴らしい運命です(笑)。

4.「自己犠牲」
 死を決意すると「判定+12+手札の使用制限なし」になる強力な運命です。判定+12だけでも十分強いですが、手札を持ってるだけ使い放題の特典を得るには、普段前衛に立たない後衛キャラがこの運命を持っていて使用するのが有効でしょう。後衛で応援に徹しているキャラにも戦闘での見せ場を与えてくれる運命です。

5.「強運の子供」
 手札をバリバリ引ける運命です。デメリットは大したこと無いので(笑)、いざというときにはバリバリ引きましょう。

6.「幸運なる生存の予感」
 いざというときに手札を仲間から一気にかき集められる運命です。寿命がたくさんあるなら、戦闘開始時でみんな手札が多いときにごっそり引きまくるのがいいでしょうかね(笑)。死にそうでやばいときに「実は…」と言いつつ手札を貰うのもいいかも。その方が運命らしいかな?(w

7.「死の予言」「悲劇の予言」「流れ矢の予言」
 自殺したいときはどうぞ♪

8.「魔剣」
 魔剣は様々な特典が付きます。魔剣に縁故5、手札補充+1、非常に壊れにくいという点が強力です。

9.「魔法の武器」
 「魔剣」ほどじゃないですけど強いです。「魔法の武器」を得た時点で運命解決してしまうところがずるいですね(笑)。

10.「血に飢えた剣士」
 戦闘では非常に強力な運命です。気絶すると戦闘不能になる点と、武器を落としたときに拾いに行かない(GMの裁量次第)点がネックですが、その辺も対策しておけば大丈夫。「魔剣」を持ってれば魔剣の行動で手札に戻ってくることも可能でしょうから、組み合わさればほぼ最強と言っていいかもしれません。

11.「魔法の力」
 何しろ魔法が精神力3点消費だけで使えてしまうところが強烈です。

12.「呪われた出自」「魔族の血」「龍の子ら」
 本当に呪われているのかどうか謎です(笑)。対人感情的によろしくない点を除けば、能力的特典のメリットはかなり大きいと言っていいでしょう。

13.「血の渇き」
 能力値が上がるのが激烈な強さです。非常に呪わしい運命ですがそれに見合った以上の強力な運命と言っていいでしょう。

14.「死の約定」
 代償は大きいですが、それに見合っただけのメリットのある強烈な運命です。能力値は増やすとしたら「反応」か「意志」でしょうかね。

15.「運命の器」
 魔族の影になってしまえば確かに強力ではあります。

16.「滅びの騎士」
 目的の魔族と本当に戦うのであれば確かに強烈な運命です(笑)。


<さらに各論:魔剣・魔族の恩恵・魔族の子>
 もっと突っ込むなら、それぞれの魔剣に関する考察や魔族の子供に関する考察、魔族の恩恵に関する考察などもすると良いと思いますが、その辺の情報はあまりにコア過ぎるので今回の論からは割愛します。自分で研究してください(w。

 魔法に関する戦術的な考察については次回まとめて書きますのでそれまでお待ちを。


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