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第2章:"生命の樹"


〜マルクートに始まり、マルクートに終わる〜


 ヴァレリアは緑色の蛇となり、PCらを闇の奥底まで運んでくれる。
 まわりを蛾が飛んでいる。
 気が付くと闇の奥底にいる。
 漆黒の祭壇が側にある。
 第1部の最後の戦いで、敵方で生き残った者がいれば、彼らはまだいる。
 あの戦いの直後に戻ったようだ。
 あるいは1部で完全敗北を喫していれば再度あの激しい戦いをしなくてはならないかも知れない。

「貴様らも敵か?"生命の樹"を取り戻すだと?つまり・・・・・・敵ということだな?」

 しかし戦いは長く続かない。
 緑色の鱗の大きな波があらゆる方向から、そして上からも襲ってくる。
 鱗の一つ一つには顔が浮き出ていて呻きをあげている。
 全てが混沌の中に呑まれていってしまう。

 混沌の中では亡霊のようになって移動します。
 が、1ラウンドごとに全ての感情が3ずつ増えてしまい、さらに"激情"すると狂気に陥ります。
 これは何があっても(他の感情が"激情"しても)治らず、PCらは狂気に溺れながらさまようことになります。
 そして混沌の中ではさまざまな幻覚を見ます。
(闇の地縁カードを使用。)


☆闇の地縁カード(適当に配置)


brD−01"闇のなかに光るもの"

 黄金の樹の幻を見る。
 それに触れると声が聞こえてくる。

「"樹"の中には全てがある。
 "樹"は全てを包 み込む。
 それはいかなる感情か?」

(「喜び」「慈しみ」「無名の感情」+1D6)


brD−02"闇のなかに流れる水"

 デュラの軍勢が押し寄せ、多くの者が死に、町が滅びていく・・・・・・。

「なぜこのような不条理が?なぜ・・・・・・」

(「悲しみ」「哀れみ」+1D6。)


brD−03"闇のなかの怪物"

 極彩色の途方もなく巨大な蛇が出現し、とぐろを巻く。
 うろこのひとつひとつに"顔"があり、わめき声を上げている。
 蛇が語りかけてくる。

「おまえは俺だ。俺はおまえだ。なぜ別れる必要 がある?」

(「憎しみ」「やるせなさ」+1D6。)


brD−04"宝物と罠"

 赤いローブを着た人影が現れ、威厳のある男とも女ともつかない声で問いかけてくる。

「汝の名は?」

(「無名の感情」+1D6。)

("真の名"で答えた場合のみ)
 彼(彼女?)は微かに笑い声を立て、こう言う。

「それが呪文だ。」


brD−05"闇、また続く闇・・・・・・"

 廃虚とがれきの山の中でローブを着た老人が焚火の側に腰掛けている。

「戦争、戦争・・・・・・また大いなる争いが起こる。
 また大いなる犠牲が払われる。・・・・・・」

(「悲しみ」「やるせなさ」「無名の感情」+1D6。)


brD−06"過去と死の匂い"

 緑色の巨大な蛇が現れる。

「死、死、死・・・・・・"樹"は全ての生と死を喰らい、そして大いなる闇を払う・・・・・・」

(「無名の感情」+1D6。)


brD−07"闇の中の手詰まり"

 巨大な漆黒の渦が現れ吸い込まれそうになる。
 命からがら逃げ出すが、その時に"何か"を失ってしまう。

(1D10を振り、ランダムな感情を"喪失"する。)


brD−08"闇からの脱出"

 黒装束の、黒い仮面をした人物が立っている。
 そしてこう言う。

「"呪文"を唱えよ。ただしそれは真の言葉で語 らなくてはならない。」

(「無名の感情」+2D6。)


 「brD-08"闇からの脱出"」で"呪文"を唱えると、
 PCたちは元通りの身体を取り戻し、("激情"も全て直り)暗闇の中に立っているのに気付く。
 目の前の中空にはギザギザの刃をした刀が浮かんでいる。
 それに近付こうとすると、その刀は巨大な極彩色の蛇に変貌し、邪悪な笑みを浮かべる。
 その時、緑色の蛇の姿をしたヴァレリアが現れ、極彩色の蛇と対峙する。
 彼らは憎々しげににらみ合い、延々と続く戦いを始める。
 これは永久に終結することがない。
 再び世界が崩れ始め、それと共にPCらの身体も変化を始める。
(またPCらは"激情"→狂気の危機に陥る。1ラウンドごとに全ての感情が3ずつ増える。)

 その時、どこからか威厳のある女性の声がしてくる。

「ふたつに別れしものを一つにする方法はいかに?」

「かの赤子はいかにして一つになりしや?」

 PCらが名付ければいいということに気付くと微笑む気配があり、さらに声が聞こえる。

「では、それはいかなる感情によって成されるべきか?
 混沌と法とを包み込むのはいかなる感情か?
 すべての不浄を癒すのはいかなる感情か?」

 『哀れみ』『慈しみ』『愛しさ』『無名の感情』のいずれかの感情によってそれは可能になる。

 彼らに名前をつけると混沌は渦を巻いて消え失せ、あたりは再び闇に包まれる。
 そして目の前に金色に輝く種が現れる。それは地面に吸い込まれ、そこから金色の芽が芽生える。
 それはみるみるうちに大きくなり、まわりの全てのものを飲み込んで行く。・・・・・・

 PCらが"個"でありたいと望むのならば逃げなくてはならない。
 だが"樹"の中からPCらを呼ぶ声が聞こえてくる。
 これまでの冒険で死んだ全ての者の声がさまざまな感情を伴って聞こえてくる。
 このまま"樹"にのまれるのもいいかも知れない(迷えば飲まれてしまう)。

 まだ普通の意味での"生きる"という道を選んだ者は、
 しばらく逃げた後に黄金の葉と実を繁らせた巨大な樹の元に立っているのに気が付く。
 "樹"に飲まれたPCもまだ亡霊めいた姿で側についてきているかも知れない。

 茫然と樹を眺めていると、樹の幹の側にぼんやりと緑色に光る影が現れる。

「よくぞ"生命の樹"を取り戻してくれました。
 全ての罪と悪しき感情はその"生命の樹"の全き感情とその力によって飲み込まれ、浄化されたのです。
 この世の大いなる闇のひとつはついにあなた方の手によって払われ、
 旧エンダルノウムは光の下の世界に取り戻されました。
 あなた方は大いなる偉業を苦難の旅の末に成し遂げたのです。
 ・・・・・・・・・・・・
 実は、まだこの物語には隠された秘密があるのです。
 実を言いますと、この樹にはもう一つ呼び名があるのです。
 それが何かわかりますか?
 ・・・・・・それは、あなた方もよくご存知の名です。
 実際に見たことさえある。

 ・・・・・・・・・・・・・

 世界樹。

 ・・・・・・・・・・・・・

 そう。この樹は世界樹とも呼ばれています。

 (「エルザ」は辺りに広がる街を見まわし)
 そして、ここはカストーラ。
 あなた方は帰ってきた。・・・・・・」

「ここはあなた方が言うところの"遠い未来"の世界なのです。
 あなた方はこの長い旅の果てに全てを失ってしまいましたが、同時に完全なる自由を手にいれたのです。
 もうあなた方を縛るものは何もありません。
 さあ、これからどうしますか?・・・・・・」

 ここで唖然とするPCたちの夢と希望を聞いてエンディング。

 そして最後の締め・・・・・・


エピローグ

 ・・・・・・かくして予言書に新たな1ページがつけ加えられることになった。
 遠い未来において、旧エンダルノウムに"生命の樹"が生え、浄化されるであろうと。

−FIN−