ローズトゥ・ロードシナリオ「3つの願い」


使用システム&サプリメント:「ローズ・トゥ・ロード」「タトゥーノ」
推奨プレイヤー人数:2〜4人

PC作成方法:
 1レベルのタトゥーノPCを作成してください。心魂は10に満たなかったら10にしてください(龍人を除く)。動物の姿のときの能力値は心魂以外はルールブックの動物データを採用。心魂は元のPCの心魂をそのまま適用してください。

概要:

 PCは駆け出しのタトゥーノです。ところが魔法に失敗して恐るべき呪いがかかってしまいました。動物の姿になったまま元に戻れなくなってしまったのです!困ったPCたちが師匠にどうしたらいいか尋ねたところ、師匠は

「海の側に住むジュロウという名の老人の3つの願いをかなえれば呪いは解けるであろう。これも修行だ。行け!」

と投げやりに放り出しました。冷たい師匠です。さて、PCたちは老人の3つの願いをかなえて無事元の姿に戻れるでしょうか?


0.オープニング(省略可):

 師匠に呪いを解く方法を教えてもらいます。老人について情報を聞けば何か話してくれるかも知れません。


1.第1の願い

1−1.ミッション1:老人と親しくなる

 海の近くの崖の上の小屋に老人は住んでいてそこでPCたちは遭遇します。PCたちは動物の姿をしているため人間の言葉を話すことが出来ません。言葉を使わずに老人とコミュニケーションする方法を模索しなさい。

 老人とより親しくなった方が叶えるべき老人の3つの願いを探り出しやすくなります。

<解決例>
 タトゥーノで「犬」のイメージを使った魔法で好感度を上げる


1−2.イベント1:爺さんが海で溺れる

 最初の遭遇から1ヶ月ほどが経過します。老人は漁師で魚を捕まえて売って細々と暮らしています。近くの村の人とは魚を売るとき以外ほとんど交流がありません。天気が悪い日は漁が出来なくなるのですが、そうするとボートで近くの湾に漕ぎ出して荒れる海の中、潜りに出かけます。特に何かを採っているという様子はなくいつも手ぶらで返ってきます。

 ある日、その日は特に天気が悪く風と雨の強い日でしたがそれでも老人は潜りに出かけ、夜遅くになっても帰ってきません。PCたちが老人を探すと海辺に打ち上げられているのを発見します。老人はそこらじゅうを怪我しており、やがて熱を出して動けなくなります。


1−3.第1の願い

 老人は夢うつつに「指輪が…早く見つけないと…」などと言います。老人が海に潜っていたのは昔落としてなくしてしまった指輪を取り戻すためだったのです。「あそこには恐ろしいクラーケンがおる。無理じゃ…」


1−4.ミッション2:クラーケンを説得

 老人がなくしてしまった指輪は湾の底に住んでいるクラーケンが持っています。クラーケンに会って指輪を返して欲しいと言うと、クラーケンは代わりに何か代償が欲しいと言います。

「わしは長く生きておるのでもはや金目のものは要らんしお前らごときを食っても腹の足しにもならん。そうだな。歌を歌え。わしが聞いたことがない歌を」

<解決例>
・本当に即興で歌を作って歌う
・「タトゥーノ」で何かオリジナル魔法を作ればそれが「歌」になる


1−5.指輪に秘められた「歌」と本当の願い

 指輪を取り戻して老人に渡すと老人は言います

「わしが若かった頃にな、この辺りに言葉をしゃべれん女がおってな、綺麗な女じゃった。わしは彼女を好いておってな、船に誘ってこの指輪を渡そうとしたのじゃ。そのとき波が起きてな。うっとうしい波じゃった。指輪を落してしまったのじゃ。…」

それから思い出したようにこう言って目を細めます。

「そう、あのときどこからか『歌』が聞こえたのじゃ。あの歌はいったい何だったのか…。懐かしいような、切ないようなあの歌はいったい…」

と、そのとき指輪が光を放ってPCたちには「紫」「花輪」「竪琴(逆)」のマジックイメージが見えます。


「紫」「花輪」「竪琴(逆)」は「失われた魔法(歌)」なのですが、「竪琴(逆)」が失われた歌を取り戻すことを阻害しています。タトゥーノを使用して「紫」「鏡」「竪琴」のイメージを集めて解放すると失われた歌が取り戻されます。それはこんな歌です

 

“私もあなたを愛しています”

 

その歌を聞くと老人は「そうじゃった、その歌じゃった」と言って涙を流します。


2.第2の願い

 第1の願いで無事失われた歌(魔法)を取り戻せた場合は、PCたちはその魔法の効果で声を取り戻します。普通に人間の言葉をしゃべれるようになります。

2−1.第2の願い

 老人は怪我は治りますが熱が収まらず動けなくなります。数日後、PCたちに指輪をとある人物に渡して欲しいと頼みます。近くの村に住むメディアという名の女性に指輪を渡して欲しいと頼みます。


2−2.メディア

 メディアという名の女性はもうすぐダナンという名の男性と結婚式を挙げることになっていて、てんてこ舞いしています。PCみたいな変な獣に指輪を渡されても拒否します。頑固に拒否するべし。


2−3.本当の願い

 師匠が現れてこう言います。

「本当の願いというものは、本人にすらよくわかっていないものだ。」
「そうそう、最後の3つ目の願いだが、かなえるかどうかはおまえたち次第だな(クックと笑う)」

気がつくと師匠の姿は消えています。


2−4.老人の過去

 老人にメディアという名の女性について、問い詰めて、問い詰めて、ひたすら問い詰めると老人はようやく重い口を開きます。

「昔な。戦争があった。大変な戦争じゃった。わしは生きて帰ってこれるとは思いもよらんかった。だからあの子を預けたのじゃ。まだあの子も小さい頃じゃった。わしのことなど覚えておらんじゃろう」


2−5.思い出のぬいぐるみ

 メディアはボロボロになったくまのぬいぐるみを持っていて家のたんすにしまっています。PCたちがそれを見ると「白」「金」「木の枝(逆)」「円」のイメージが見えます。


「白」「金」「木の枝(逆)」「円」も失われた「歌」で「木の枝(逆)」が歌を阻害しています。「白」「金」「木の枝」「円」のイメージを完成させてそれを解き放つと失われた歌が取り戻されます。それはこんな歌です。

 

“この子が健やかに育ちますように
 この子が幸せになりますように”

 


2−5.大団円

 どうやったらみんなが幸せになり、老人の望みがかなえられるか考えなさい。


3.第3の願い

 2つの「本当の」願いがかなうとPCたちは時々は人の姿に戻れるようになり、何とか人の社会でも生きて行けるようになります。別に3つ目の願いをかけなくともいつか神様に祈り続けていれば呪いは解けますが、それでも老人に3つ目の願いを聞きに行くと老人はこう言います。

「もう思い残すことはない。ありがとう。そう、最後の願いじゃったな…いや、これはさすがに無理じゃろう。」

それでもしつこく聞くならこう言います。

「わしの最後の願いか。そうじゃな。おまえたちがやってきたこの1ヶ月余りはとても楽しかった。長年の望みも叶ったし。わしも老い先短いが、こんな楽しい毎日がせめてこのままずっと続くといいのう」

老人の願いをかなえるかどうかはPC次第です。

おしまい