000.樹の夢

 

   

 そうしてその地には天に届くばかりの巨大な樹が生え、ユルセルーム大陸のどこからでもその姿を見ることができるようになった。
 
 その樹が生えたのはかつてエンダルノウムと呼ばれ、魔界と化し、いったん失われた、世界が一つであることの証である町であった。大旗戦争という名の大きな戦争が起こり、その後それはようやく人々の手に取り戻された。
 
 遠い未来の物語である。

 

 

 

エルイヴ もういい。新しいファイロエリンが生まれ、私はいなかったことになってもいいです。もう二度とシドのような、父のような、母のような思いをする人がいないように、私のような思いをする人がいないように
エルイヴ どうか・・・どうか・・・・
エルイヴ

皆の思いが救われますように………
 

 


 
 その樹が生えた町は女神の加護を持った巫女が治めるようになり、その真ん中の町を人々はカストーラと呼ぶようになった。
 
 これは遠い未来の伝説の楽園の物語としてファラノウムの書庫のとある書物に記されている。
 
 その書物の最後には、その樹について歌った歌が収められている。それはとある吟遊詩人が自分の愛する妻と息子のために歌った歌である。
 
 

 

 

エルイヴ

それは樹の噛む夢なのか………世界のまどろみの夢なのか………
 

 

 

 
“大きな すばらしい木に 聞いてみるといい

 光と 風と 生きものたちの ちがいを

 お日さまの めぐりかた 春夏秋冬のふしぎを

 そして もちろん

 子どもたちの ぶらさがりかたをも”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

fin