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TRPGシステム紹介
 今の僕の視点で冷静にシステムの評価をしてみようというコーナーです。
 基本的にある程度やり込んだものを紹介。

<タイトル>(難易度:1(とてもやさしい)〜5(難しい)
<システム概要>
<長所>
<短所>
<雑感>

<ファイティングファンタジー>−1
<クトゥルフの呼び声>−3
<ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード>−5
<ファー・ローズ・トゥ・ロード>−3
<パラレル☆ろーるRPG>−1
<ロールマスター>−3
<深淵>−4
<ウィッチクエスト>−2
<ボトムズTRPG>−3
<PARANOIA>−3

<ファイティング・ファンタジー>−1

<システム概要>
 かつて社会思想社から発売されていたゲームブックシリーズで使われていたシステム。基本的にモンスターとの戦闘をするためのルールだったが後に能力値判定の概念も入れられた。

<長所>
 とにかくルールが簡単で10分で覚えられる。キャラクター作成もせいぜい3分で終わるだろう。お手軽なのでいつでもどこでもできる。
 また、ゲームブックの方ではファンタジーの他にもSF、ホラー、ロボット物、ヒーロー物etc...と様々なジャンルが発売され、専用の追加ルールなども付けられているのでそれを採用すれば多種多様なジャンルのゲームもプレイ可能である。
 ファンタジーでは「タイタン」というゲームブックに基づいた非常に魅力的で奥深い世界も準備されている。

<短所>
 ゲームブックがすべて絶版で若干入手しづらい。まだいくらか在庫が流通しているので、取り扱っている書店・ゲーム専門店を当たれば入手は可能。
 判定に使う能力値がほぼ「技術点」のみで、この高低でキャラクターの強さがはっきり決まってしまう点がネック。弱いキャラクターを活躍させるにはプレイヤーの能力が要求される。
 能力値が単純すぎるので能力値処理だけしていると単調なセッションになってしまう。その点シナリオの方で工夫して面白くする必要がある。

<雑感>
 とにかくいつでもどこでもすぐプレイできて簡単なのが良い。ルールを全く知らない人でも即参加できる。ということで初心者にうってつけのシステムなのだが、ゲームブックがほとんど絶版で今となっては知らない人が多いという点が実に残念である。
 ルールに融通が利かない点については「アドバンスド・ファイティング・ファンタジー」という、このシステムを元に作ったTRPGシステムを使えば改善される。そのシステムを使えば「タイタン」の世界をそのまま使える点が嬉しい。


<クトゥルフの呼び声>−3

<システム概要>
 ラヴクラフトによって始められた「クトゥルフ神話」という、ホラー小説の世界ではカルトな人気を誇る世界観を背景にしたホラーTRPG。1920年代のアメリカ、1890年代のヨーロッパ、現代、夢の世界「ドリームランド」などなど様々な舞台でプレイ可能。
 システムは「ベーシックロールプレイング」という100面ダイスで振って判定するシンプルなシステムをベースにし、これに「正気度ルール」という革新的なルールを付け加えて出来たシステム。

<長所>
 ルール的には「正気度ルール」がキャラクターの恐怖を疑似体験させるのに素晴らしい効果を出している。
 背景世界も独特で魅力的であり、古今東西の作家たちがこの「クトゥルフ神話」を元に様々なストーリーを描いているのでネタに困ることはない。ほとんど考え付くどんなシチュエーションでもこのシステムなら実現可能であると言っても過言ではない。ルールブック・サプリメントのデータも非常に豊富で充実している。
 基本となる「ベーシックロールプレイング」システムも判定が単純明快で見ただけですぐに理解できる。

<短所>
 表現できる背景世界が多種多様なのにも関わらず「正気度ルール」が強烈すぎるため、安直なB級ホラーに流れやすくセッションが定型化しがちな点が、システムとして若干噛み合っていない。
 豊富なデータがあるのはいいがそれを把握するのに時間がかかり、その分GM(キーパー)に負担が来る。
 敵となるモンスターが強力で安易な正面衝突は死を招くので、プレイヤーに思考能力を要求する。

<雑感>
 プレイヤーにとってはルールが単純明快でプレイしやすい。ほとんど何でもありで何でも出来る。力による解決が難しいため、プレイヤーに頭を使わせる謎解きシナリオのたぐいが比較的向いているし実現しやすい。正気度ルールもスリリングで面白く、キャラが発狂したり強力な敵の化け物にやられるのを見るのが実は楽しかったりする(笑)。


<ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード>−5

<システム概要>
 ユルセルームという名のオリジナルの世界を舞台にしたファンタジーRPG。様々な種族をプレイでき、独特の幻想的な魔法を使うことが出来る。

<長所>
 独特の世界観、魔法、ライトな雰囲気からシビアな世界まで様々な雰囲気で遊べる幅広さ、などなど長所は数え切れないくらいある。

<短所>
 魔法が独特でとにかく難しい。
 ゲームバランスは1〜3レベルくらいのキャラクターまでは対応しているが、それ以上はバランスが壊れる(笑)。
 システムが絶版で入手困難。

<雑感>
 世界観・魔法とも非常に独特で魅力的なシステムである。やり込むだけの内容と価値はあると言っていいだろう。ただ、その分だけ敷居が高く難しいという面がある。少なくともGMをする人間はその世界観を多少なり把握した上でプレイすることを要求される。
 真に「幻想的な」ファンタジーをやりたいと思うなら、このシステムこそうってつけと言っていい。


<ファー・ローズ・トゥ・ロード>−3

<システム概要>
 ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードの続編。ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードの難しい部分をやさしくし、さらに斬新なルールを付け加えた意欲作。

<長所>
 ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードの魅力的な世界をそのまま引き継ぎつつルールをわかりやすくすることに成功している。オプションの多種多様なルールで実に様々なシチュエーションを楽しむことが出来る。
 「感情ルール」で感情に振り回されながらプレイするのも楽しいし、「アーティクル」ルールで魔法の物品が出来るのも面白い。武術が多彩で充実しているので、それを生かしてバリバリ戦闘するのも爽快である。
 魔法に関してはビヨンド・ローズ・トゥ・ロードからの独特な雰囲気を引き継いでいて良いが、ビヨンド〜の魔法に愛着のある人なら、そのままのルールを使用してもプレイ可能である。

<短所>
 システムが絶版で入手困難。ゲーム専門店なら在庫が残っているので絶版ゲームの中では入手しやすい方だと思う。
 オプションルールが多すぎて全体を把握して運用するのが少々難しい。シナリオに合わせて必要な部分から徐々にルールを導入していくと良いかと。

<雑感>
 ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードの魅力的な世界を引き継ぎつつプレイアビリティを上げることに成功したシステム。その独特の世界観そのままにプレイしても楽しいが、それ以上に新たに付け加わった「感情ルール」「物品の精霊ルール」「武術ルール」「魔術ルール」「経験表」「精霊ルール」etc...といったルールをいろいろシナリオに絡めて使ってみるだけでも面白いプレイが出来る。


<パラレル☆ろーるRPG>−1

<システム概要>
 「アップルベーシック」をベースにしたシステム(詳しくは「ウィッチ・クエスト」の解説参照)。「6つの世界の物語」所収。技能の分類が特徴的で、「ラブコメ」「シリアス」「ギャグ」「熱血」etc...というジャンルごとに技能が分けられ、具体的な技能は「心臓の鼓動の音が聞こえる」「夢落ち」「死ぬ」「勉強する」「ハートマークを飛ばす」など、それぞれのジャンルらしい技能になっている。
 で、技能判定に成功したらその技能でこじつけてつじつまを合わせたら成功!という無茶なシステム(笑)。

<長所>
 とにかく「ノリ」で何でも出来るシステム。
 しかも、自分の好きなノリでプレイでき、そのまま共存できてしまうというところがすごい。

<短所>
 ノれない人にはプレイできない(笑)。
 GMにさまざまな「ノリ」に関する知識を要求する。

<雑感>
 ノリを主体にしたシステムだとその方向性(ギャグ・シリアス・ラブコメ・熱血etc...)を限定してしまうものがほとんどだと思うが、このシステムではどんなノリでも許容してしまうところが無茶というか、すごい(笑)。


<ロールマスター>−3

<システム概要>
 詳細なデータ、表を多用したシステム。
 背景はファンタジー世界をベースにしている。
 しかしこのシステムの売りは何と言っても「戦闘」の楽しさに尽きるであろう。

<長所>
 戦闘ルールは基本的に能力値+1D100の達成値で指定の表を参照するだけなので、実はやさしい。表を参照する分手間はかかるが、振って見て楽しい「痛打表」があるためこの作業も苦痛とはならない。それどころかそのエグい表現に爆笑できること請け合いである。

<短所>
 キャラクターを作るのがとにかくめんどくさい。自力で作成できたことは一度もない(笑)。キャラを成長させるとさらに大変。詳細なやたらに細かいルールがてんこ盛りでとてもすべてのルールを使ってプレイしようなどという気は起きない(笑)。マスターは使うルールを取捨選択する必要がある。
 戦闘以外に関しては「無い」と思ってくれても構わないだろう。とにかく戦闘の楽しみに特化したシステムなのである。

<雑感>
 楽しくスリリングな戦闘をしたいなら、このシステム以上に面白いシステムは他にないと言ってもいいくらい面白いです。戦闘以外に関しては忘れてください(笑)。キャラデータは一度作ったら、それを使い回すのがいいでしょう。


<深淵>−4

<システム概要>
 ダーク・ファンタジー。
 キャラクターは過酷な「運命」を背負っており、想いを寄せる「縁故」や絶大な力を持った「魔族」に翻弄されながらあがき続けるドラマチックRPG。

<長所>
 TRPGで「ドラマ」をやるのにうってつけのシステムである。「運命」と「縁故」を決めてそれを絡み合わせていくだけで「ドラマ」が出来る。
 「魔族」「妖精騎士」「星座の神々」など、独特で魅力的な世界観を持っている。
 戦闘はカードを使用するもので非常に戦術性が高くスリリングなプレイが出来る。
 「夢歩き」はその世界の雰囲気を色濃く出している。「夢歩き」にはGMとプレイヤーのストーリーの調整の機能もあって、ドラマチックな展開をプレイヤーとの協力で創り上げていくのに役立つ。
 「運命」「魔族」など多数の設定があり、様々なシチュエーションでプレイ可能である。

<短所>
 基本的なルールは簡単だが、その運用の仕方にプレイヤーの力量を要求する。
 戦闘ルールが不必要に重く、他のシステムとのバランスが悪い。下手に戦闘を入れるとセッションのテンポを崩してしまう。
 世界観が極めてシリアスでプレイする人間を選ぶ。
 「夢歩き」がGMの感性に依存し、テクニックを要求する。

<雑感>
 シリアスな「ドラマ」をやりたいならこれ以上のシステムはないであろう。
 戦闘ルールがネックなので、思いっきり戦闘するか、まったく戦闘しないかの2択でシナリオを考えると良いと思う。
 慣れれば「運命」さえ決まればシナリオは要らないという話もある(笑)。


<ウィッチクエスト>−2

<システム概要>
 プレイヤーは魔女と魔女猫のコンビになり、困った人を助けるという目的のメルヘンなTRPG。魔女・魔女猫はそれぞれ独自の魔法を使うことができ、そういう魔法を使ったり人を説得したりして問題を解決していく。

 システムは「アップルベーシック」と言われるシステムを元にしている。技能の回数だけサイコロを2個振ってゾロ目が出たら成功という単純なシステム。魔女の魔法は効果を適当に決めて難易度以下を出せば成功という方式。猫魔法はマジックポイント消費式で必ず成功する。
 冒険の舞台は公式設定もあるが、ルール的には自由に自作できるようになっている。

<長所>
 コンセプトが明確でルールは単純明快。こういう世界観が好きな人ならば初心者でもすぐにプレイ可能。
 魔法も「魔女の魔法」「猫魔法」と分けることで特徴を出している。「猫魔法」は猫らしい?いい雰囲気の魔法ばかりで使いどころが面白い。
 町ごとにまったく違う設定を作れるので、同じ魔女っ子ものと言ってもほとんどどんな遊び方でも実現可能な自由さがある。

<短所>
 アップルベーシックの欠点はキャラクター同士の対立をルール的に処理するのが難しい点である。これについてはルールのコンセプトで回避してはいる。ただこの欠点のため、活劇的なスリリングな場面を表現するのがかなり難しい。
 あと、魔女の魔法の判定ルールのバランスが非常に悪く、難易度の設定によってほとんど100%成功するか、ほぼ100%失敗するかの両極端しか表現できない。この辺は改善の余地がある。
 それから、ルール的制約が弱く戦闘もほとんどしないと思われるので、実は筋道立ててシナリオを作るのが少し難しい。これについては「短所」と言うより「特徴」と言った方がいいかも知れない。シナリオの作り方を他のシステムとは根本的に変える必要がある点、GMにとっては意外と難しいシステムとも言えるであろう。

<雑感>
 自由度が高く、単純明快で実にプレイしやすい良いシステムだと思う。こういう世界観でプレイしてもいいなという人には一度はプレイしてみることを勧める。
 付属で「ウィッチタロー」というオリジナルのルナタロットもどきが付いているのだが、これを使用したルールが特に無い点が少々勿体ないように思う。


<ボトムズTRPG>−3

<システム概要>
 アニメ「装甲騎兵ボトムズ」の世界をベースにしたTRPG。TRPGと言うより戦闘級シミュレーションボードゲームと言った方がいいかもしれない。システムのメインはロボット(AT)同士の戦闘でヘックスを使用する。

<長所>
 ルールは1D20+能力値の判定だけですむ非常にシンプルなシステムである。「コンバットスタイル」を選択し、「異能」「カスタマイズ」を個別に取得することで独自の戦闘スタイルを決めて戦闘できる。この辺は意外に奥が深い。
 要するに「シンプルかつ奥が深い」システムと言っていい。

 戦闘ルールだけでも充分に面白いので、特に背景世界(アニメ)を知らなくても面白くプレイできる。

<短所>
 システムをシンプルにまとめているため、逆に一部外道なことまで出来てしまう部分がある。
 元がアニメネタなので、知ってる人とそうでない人の間のギャップに苦しむ状況が出てくるかも知れない。

<雑感>
 戦闘ルールがシンプルでよくできているしダラダラと長引かずにサクッと終わるので、手軽にプレイできる。
 背景世界に関してはよく知らないが(笑)、メインのストーリーをドラマチックにするためにつぎはぎのように作られた世界だそうな。個人的な経験から言うと、そういうつぎはぎな世界の方が逆にリアルで面白い世界が出来ると思う(笑)。あまり世界的な制約が強くないと思われるので、自由にプレイしやすいかと思う。


<PARANOIA>−3

<システム概要>
 アルファ・コンプレックスという、コンピュータに管理された未来社会を舞台にしたブラックユーモアRPG。
 「コンピュータ=GM=絶対者」にミッションを命じられ、それを解決するというのが表向きの目標だが、PCはすべて裏切り者で反逆者であるのでミッションがうまくいくことは無い(笑)。PC同士、どう裏切り合うか、で、ミッション失敗した場合にどう責任を擦り付け合うかが面白い。「死人に口なし」と言うように口封じしてしまえば責任転嫁するのは簡単だが、ちゃんとクローンが6人居て、死んでもすぐにキャラが補充される。

<長所>
 純粋にギャグ・ゲームとして楽しめる。システム/世界観もコンセプトにきっちりリンクしてきわめて完成度が高い。
 まさに完璧(笑)。

<短所>
 PC同士が殺し合い・責任の擦り付け合いになるので、ギャグ・ゲームと割り切って遊ぶならいいが、キャラに感情移入して笑えないタイプのプレイヤーには合わない。プレイヤーを選ぶゲームである。

<雑感>
 実に「TRPG」というシステムそのものを馬鹿にし切ったTRPGである(笑)。その代わりゲームとしての完成度は極めて高い。10年以上も前にこんなゲームが作られていたということ自体驚きだが、一方それがいまだに遊ばれているというのはシステムの完成度から言って納得のいくところではある。