第1部 神の火


■概要
 PCたちは町に運び込まれた奇妙な歌を歌う女、マチルダに会う。
 そしてそのPCは彼女の子供ではないかという疑いをかけられる。
 その夜、不吉な予言どおり「神の火」が町を襲い、大惨事になる。
 PCとマチルダたちは死の危険に直面する。


 <第1部「神の火」>
  ├01.予知夢
  ├02.きもだめし
  │  ├2-1.修道院の前で
  │  ├2-2.
  │  └2-3.抱擁→(A)
  ├03.マチルダ
  │  ├3-1.依頼
  │  ├3-2.子牛のスープ★
  │  ├3-3.首飾り
  │  ├3-4.詰問→(B)
  │  └3-5.(B)密談
  ├04.継母
  ├05.狩人→(C)
  ├06.労働
  │  ├6-1.★
  │  └6-2.魔女
  ├07.(A)悪童ども
  ├08.図書室
  ├09.修道士ラトボドウの日記
  ├10.神の火
  │  ├10-1.雇い人夫婦救出
  │  └10-2.マチルダ救出
  └11.〜次回予告〜

A…シナリオフラグ【狂った女の子供】
B…シナリオフラグ【子牛のスープ】
C…シナリオフラグ【白い影】
★…フラッシュフォワード使用可能


01.予知夢

シーンPL:【予知能力者】
他のPCの登場:可
開始条件:第1部オープニング
終了条件:夢の続きを見ないことを選んだ場合、または<夢2>の最後のテキストを読み終えたら

 【予知能力者】は以下の夢を見ます。また、精神力を消費することで夢の続きを見ることも出来ます。キーパーは、少なくとも「夢1」だけは見せるようにしてください。その際最低でも精神力4点消費することになります。キーパーは夢1から順番に話して聞かせ

「夢の続きを見たいですか?」

と言ってPLの意志を確認してください。

<夢1>…精神力消費4

 あなたは夜、修道院にいます。修道院には友人の【修道士見習い】があなたたちに食事の残りを分けてくれるためよく来るのです(もちろん修道士様には内緒です)。

 と、そのときどこか遠くから奇妙な、美しい歌が聞こえてきます。

・「四科」で判定。成功した場合は、その歌はこれまで聞いたどんな歌とも異なる旋法の全く斬新な歌だということがわかる。正気度喪失0/1。

・また、「聞き耳」&「他国知識」に成功した場合は、その歌の歌詞はあなたが一度も聞いたことのない言語によるものだということがわかります。

ドーン!

と雷が落ちたときのような恐ろしい耳を聾する音がし、壁が崩れます(HP−1)。

 見ると辺りがもうもうと煙に包まれ、ところどころ燃えているのが見えます。

<夢2>…精神力消費4

 あなたは夜、修道院にいます。修道院には友人の【修道士見習い】があなたたちに食事の残りを分けてくれるためよく来るのです(もちろん修道士様には内緒です)。


 あなたが用を足すために雪が積もる修道院の外に出て、ふと見上げると、空はぞっとするほどきれいな星空で、数え切れないほどたくさんの星が輝いています。

 と、そのとき西の空に見慣れない小さな星々がいくつか輝いているのに気が付きます。


それは奇妙な甲高い轟音を立てながら流星雨のように町に落ちてきます。

ドーン!

と雷が落ちたときのような恐ろしい耳を聾する音がして、あなたは背後から押し出されるように前に吹き飛ばされ、ごろごろと転がります。(HP−1)


 雪まみれになったあなたが起き上がって辺りを見回すと修道院がいつの間にか火に包まれてゴウゴウと燃えています。町の方から人々の騒ぐ声がして振り返ると、町中の家々も赤々とした炎に包まれています。

02.きもだめし

 PCたちは修道院に集まり、地下につれてこられたという頭のおかしな?女と夜な夜な聞こえてくる奇妙な歌について話をする。そして

「きもだめし」

と称してその女を見に行くことになる。

※注意
 序盤のPCの動機付けをするシーンなので多少強引でも誘導してください。場合によってはぶっちゃけもOK。


02-1.修道院の前で

シーンPL:全員
他のPCの登場:−
開始条件:「1.予知夢」が終わったら
終了条件:PCたちが修道院に入って食事にありついたら

 あなたたちは鼻水が凍り付いてそのまま氷柱になりそうなぐらいの寒い夜、雪が降りしきり、風もびゅうびゅうと冷たく吹きすさぶ最中、町の修道院の前にやってきています。修道院には友人の【修道士見習い】があなたたちに食事の残りを分けてくれるためよく来るのです(もちろん修道士様には内緒です)。あなたがたは町の孤児で、日ごろあまり良い待遇(待遇だって!?)を受けておらず、今日もあなたたちを嫌っている人たちの嫌味な粗探しによってあなたの不手際が発見され、夜の食事はお預けになってしまいました。

 おなかをすかせたあなたちはそんな事情で、いつもお世話になっている【修道士見習い】にほどこしを“たかる”ため、いつもどおり修道院の前にやってきたのです。


02-2.歌

シーンPL:全員
他のPCの登場:−
開始条件:PCたちが修道院に入ったら
終了条件:PCたちが地下室の扉の前にやってきたら

 食事にありついたPCたちは地下から歌が聞こえてくるのに気が付く。地下にあの女が閉じ込められた日から毎晩それは聞こえてくるようになった。それは、何か物悲しく美しい歌であったが、これまで聞いたことがない奇妙な歌でもあった。

<判定>
・「四科」で判定。成功した場合は、その歌はこれまで聞いたどんな歌とも異なる旋法の全く斬新な歌だということがわかる。正気度喪失0/1。

・また、「聞き耳」&「他国知識」に成功した場合は、その歌の歌詞はあなたが一度も聞いたことのない言語によるものだということがわかります。

<解説>
 キーパーはPCたちが女の様子を見に行くよう誘導してください。PC全員を行かせる必要はありませんが2人以上が行くといろいろと盛り上がるでしょう。

階段を降り、暗い廊下をしばらく歩き、その扉の前にたどり着いた。

02-3.抱擁

シーンPL:全員
他のPCの登場:−
開始条件:PCたちが最初にマチルダに会いに行ったら
終了条件:PCの一人がマチルダに抱きしめられたら

扉を開け、中を照らすと、部屋の隅に人影があるのがわかった。
その人影は、手を組んで、祈るようにして歌を歌っていた。

キーパーはここで彼女(マチルダ)がPCたちに気付いたかどうか判定する。(というポーズを取る)
ダイスは隠して振ること。どんな目が出ても判定は成功する。

不意に歌がやんで人影は言った。
「誰?」

キーパーは最初にどのPCが反応したかを見極めること。反応は出来ればPCが声を出して反応してくれた方が望ましい。PCが反応をしたら、彼女はそのPCに駆け寄って抱きしめる。

彼女はあなたに駆け寄ってあなたを抱きしめた。

「アダム!よかった。生きていたのね!」

そう言って彼女はあなたを抱きしめたまま涙を流した。

「あなただけ置いて逃げてごめんなさい…」

PCが男性の場合は「アダム」、女性の場合は「エヴァ」にすること。
抱きしめられたPCは、以後【狂った女の子供】と表記する。シナリオフラグ【狂った女の子供】を得る。


03.マチルダ

 PCたちは修道士のラトボドウに彼女の身元を調査して欲しいと依頼を受ける。また彼女と会う際についでにと、食事を持って行くように言われる。PC立ちは彼女と会話することでさまざまな情報を得る。彼女との会見のあと、PCたちはラトボドウにその内容をしつこく聞かれる。PCたちの話を聞いたラトボドウはちょっと用があると言って領主の館に出かける。


03-1.依頼

シーンPL:【修道士見習い】
他のPCの登場:可
開始条件:PCたちがマチルダに会った翌朝
終了条件:PCが修道士の依頼を受けたら

 【修道士見習い】が修道士のラトボドウに「狂った女」の身元調査を依頼する。

「【修道士見習い】よ、最近修道院に連れてこられた女性のことは知っているな?」


「彼女の身元について調べてほしい。身寄りがわからなくて我々も困っているのだ。」


「これも修行のためだ。」


「猟師の***が森の奥の小屋から彼女を見つけてつれてきたそうだ。彼に効けば何かわかるだろう。」

 【修道士見習い】は修道士のラトボドウにマチルダの元に食事を持っていくよう依頼される。

「そうそう、ついでだが、彼女に食事を持っていってもらえないだろうか」

料理のメニューは

・子牛のスープ
・パン
・ミルク

である。なかなか豪勢であると言って良い。


03-2.子牛のスープ★

シーンPL:【修道士見習い】【狂った女の子供】
他のPCの登場:可
開始条件:PCがマチルダに食事を持っていったら
終了条件:一通り下記の話題について会話を終えたら

 食事をし、彼女の身の上などについて会話などします。

「メニューは何?」

彼女は【狂った女の子供】に子牛のスープを渡す。

「さあ食べなさい」

ミルクは奪い取って

「これは飲んではいけません」

そしてパンを渡して

「これはいざという時のためにとっておきなさい」

「神学」の判定に成功した場合、聖書にそのような逸話があったのを思い出す。


<話題1:名前は?>

「マチルダ。」

【狂った女の子供】を見て

「忘れたの?」

と悲しげに言う。


<話題2:【狂った女の子供】が「自分はアダム(エヴァ)ではない」と言って拒絶する>

「どうして?」


PCの反応を見て

「どうして?」


<話題3:どこからやってきたのか?>

彼女は暗い目の表情をして言う。

「遠くから」

そして空の方向を指差す。


<話題4:そこはどんな場所か?>

「地獄のように恐ろしい場所」

【狂った女の子供】を抱きしめて

「あなたを一人置いてきてごめんなさい」


「地獄というのは本当にあるのよ」


<話題5:歌っていた歌はなんなのか?>

「サマータイム。“夏時間”という意味の英語(*1)の歌で、ラジオ(*2)で聴いたの。」

【狂った女の子供】に向かって

「あなたが好きな歌だったから」

そういって彼女は歌う。

(*1)正気度喪失0/1。この時代、まだ「英語」というものは存在しない。
(*2)正気度喪失0/1。


<議題6:歌詞の内容は?>

彼女が翻訳してくれる。

Summertime and the livin' is easy
Fish are jumpin' and the cotton is fine
Oh your Daddy's rich and your ma is good lookin'
So hush little baby, don't you cry

One of these mornings
You're goin' to rise up singing
Then you'll spread your wings
And you'll take the sky
But till that morning
There's a nothin' can harm you
With daddy and mammy standin' by
夏になったよ、暮らし向きは楽になった
魚は飛び跳ねるし、綿も高く伸びた
おまえの父さんは金持ちで、母さんは美人だ
だからシーッ!坊や泣くんじゃないよ

いつの日か、
大きくなって歌うようになって
翼をいっぱいに広げて
空を飛ぶようになるさ
でもその日まで、
何一つ嫌なことはありはしないよ
父さんと母さんがそばについてるからね

★:マチルダに対してフラッシュフォワード

 何かに乗って夜空を駆け抜ける情景を見る。正気度消失0/1D3。


03-3.首飾り

シーンPL:ネックレスに気付いた人
他のPCの登場:可(シーン「2-2.子牛のスープ」の登場PCを引き継ぐ)
開始条件:「2-2.子牛のスープ」が終わったら
終了条件:一通り下記の話題について会話を終えたら

あなたは彼女が奇妙な形の首飾りをしているのに気付いた。
十字架のように見えなくもないが、まったく別の得体の知れないもののようにも見える。

<話題1:その首飾りはなんなのか?>

「ひこうき(*1)。これに乗って飛んできたの」

(*1)正気度喪失0/1。

<話題2:「ひこうき」とは何か?>

「空を飛ぶ乗り物。」


03-4.詰問

シーンPL:【修道士見習い】
他のPCの登場:可
開始条件:食事&マチルダの会話が終わったら
終了条件:ラトボドウが、マチルダがミルクと子牛のスープをいっしょに食べさせなかったことを聞いたら

修道士のラトボドウは戻ってきた【修道士見習い】を見ると駆け寄ってきて、食事の様子や何かわかったことがないか根掘り葉掘り聞いてくる。

何かわかったかね?あるいは何かおかしなことなどなかったか?


食事の方はちゃんと食べたかね?あるいは何かを食べなかったりはしなかったか?

PCが回答を渋った場合はこう言う。

【修道士見習い】よ、神かけて、本当のことを包み隠さず言いなさい。

PCが、マチルダが【狂った女の子供】子牛のスープを食べさせたがミルクは飲ませなかったという話をした場合、シナリオフラグ【子牛のスープ】を得る。

その話を聞いた彼は大きくうなずく。

「なるほど。なるほど。」


ふと思い出したように

「少々用事が出来た。私は出かける。よくやってくれた。ご苦労だった。」

そう言ってラトボドウは退場し、シーンを切る。


03-5.密談

シーンPL:マスターシーン
他のPCの登場:可
開始条件:シナリオフラグ【子牛のスープ】を所持していたら
終了条件:修道士ラトボドウと領主のレギンバルトの対話が終わったら

修道士のラトボドウは何かにせかされるように早足で町を横切っていく。
何か思案に暮れながら、町人に声をかけられるがそれにも気付かず歩き去っていく。

ラトボドウがたどり着いたのは町はずれの領主の館であった。
彼は館を見上げ、息をつき、門番に声をかけて中に入っていった。

以後はPCが館に潜入しない限り見ることが出来ない。
適切な技能に2回ほど判定成功したら無事館に潜入して領主と修道士の会話を聞くことが出来る。
(使用可能な技能としては「忍び歩き」「信用」「登攀」「聞き耳」「目星」など)

領主:「修道士殿、今日は何の話ですかな?」

修道士:「領主様、ご機嫌麗しゅう」

領主:「ふむ」

修道士:「修道院に連れて来られた女性についてご存知でしょうか?」

領主:「うむ」

修道士:「あの女性の素性について少々わかったことがありまして。」

領主:「ほほう。というと?」

修道士:「実はあの女性は…(耳元でささやく(*1))。」

領主:「なんと。」

修道士:「どのような処分をするのがよろしいかと相談に参った次第です。」

領主:「ふむ。…(間)…利用価値はあるな。」

修道士:「しかし問題が。彼女をかくまったとあれば、教会は許さないでしょう」

領主:「うーむ」

修道士:「いかがいたしましょう?」

領主:「なに。かいしゅう(*2)させればよかろう。それで万事解決だ。」

修道士:「それは。…さすが領主様です。しかし」

領主:「逆らうのであれば、それなりの処分をすれば良いだけだ。損はない。むしろ得るものの方が多いだろう。それに」

修道士:「それに?」

領主:「頭がおかしいという話であれば、暴れて危険だったのでやむを得ず処分したという話にすれば問題はあるまい」

修道士:「なるほど、それは慧眼ですな」

(*1)…聞き耳−20%判定で成功すると『裏切り者の民なのです』とラトボドウが囁くのを聞くことが出来る。
(*2)…母国語の判定に成功すれば「改宗」という意味がわかる。


04.狩人

シーンPL:【狂った女】の話を聞きに行ったPC
他のPCの登場:可
開始条件:任意
終了条件:一通り以下の情報を聞き終えたら

「何の用だ?クソガキが」

<話題1:彼女をどこからつれて来たのか?>

森の奥の「ヴィリー」という名の男が住んでいた小屋の地下から。

ヴィリーは たまに町に現れたのだが、最近めっきり姿を見せなくなったので様子を見に行ったところ、小屋の中で奴は死んでいた。
小屋の中からなにやら物音がするので調べてみたところ、地下室が見つかって、その扉を開けるとあの女が飛び出してきてそのままばったりと倒れてしまった。

あんなところにあんな女がいるとは思いもよらなかった。

まだ息があったのでここまで何とかつれてきたが散々暴れて引っ掛かれてひどい目にあった。
もう、あの女に会うのもあの小屋に行くのも二度と御免だ。

<話題2:ヴィリーとは?>

2年ほど前に現れた偏屈な男で、森に籠もったっきりほとんど姿を現さなかった。
それでも週に一遍くらいは食い物を得るために町にやってきた。

それが2週間も全く現れなくなったので心配になって見に行ったのだ。

<話題3:どうしてもう二度と小屋に行きたくないのか?>

ヴィリーはひどい形相で死んでいた。あんな恐ろしいものを見るのは二度と御免だ。(*1)

(*1)…「洞察」に成功すると彼が何か隠し事をしているのに気付きます。

<話題4:何か他になかったか?>

何もなかった。(*2)

(*2)…「洞察」に成功すると彼が何か隠し事をしているのに気付きます。

<話題5:何を盗んできたのか?(問い詰めた場合)>

これだ。(*3)

(*3)…いったいどれだけの人間から取ってきたのか?というくらい大量にある金歯の入った箱を見せてくれる。正気度チェック1/1D6。

<話題6:あそこで何があったのか?(問い詰めた場合)>

奴はおかしくなっていた。斧を持っていて、俺を見て殺そうとした。
俺は必死に抵抗し、気が付くと奴が頭から血を流して死んでいた。
仕方なかったんだ。

「洞察」に成功すると彼が本当のことを言っているのがわかります。

それから小屋の方に行ったらあの女を見つけたんだ。


あの女を連れて帰る前に、ヴィリーをせめて埋めてやろうと思ってあいつを倒したところに行くと、ぼうっと光る白い影みたいなのがいてな。

びっくりした。ヴィリーがもう幽霊になって俺を祟りに来たのかと思って一目散に逃げ出したんだ。

…と言ってブルッと体を震わせる。

シナリオフラグ【白い影】を得る。


05.継母

シーンPL:【領主の子】
他のPCの登場:可
開始条件:【領主の子】のPCが家に帰ったとき
終了条件:会話に適度に切りが付いたら

「どうしておまえはまだ生きているのか。ろくに役に立たない癖に無駄飯ばかり食べて。あんたみたいなのを『石潰し』って言うのよ」


「世のため人のため、さっさと死んだらどう?」

館の人間の噂話などを調査すると【狂った女の子供】は、マチルダの子供ではなかろうか?という新しい噂で持ちきりである。


06.労働

 いつものことであるが【力持ち】は雇い人夫婦に気の遠くなるほど大変な仕事を任される。しかしサボれば殴られるし夕飯は抜きだ。まずい食事だが食べなければ力も出ない。


06-1.畑★

シーンPL:【力持ち】
他のPCの登場:可
開始条件:キーパーの任意
終了条件:雇い人との親父との会話に切りがついて仕事を始めたら

雇い人の親父に今日の仕事を命じられる。今日の仕事は見渡すばかりの広大な農地を日が沈むまでに耕すことである。

「サボったら夕飯は抜きだからな」


「返事はちゃんとしろ」(殴る)


「何だその顔は?」(殴る)


「その目が気に食わん」(殴る)


「その声が反吐が出る」(殴る)


「その生意気な鼻は何だ?」(殴る)


「おまえの代わりはいくらでもいるんだ。役に立たなくなったら叩き出すだけだからな」(殴る)

★親父に対してフラッシュフォワード
 燃え盛る家の中で梁の下敷きになって死ぬ彼の姿が見える。咳き込んでHP−1。正気度喪失0/1。


06-2.魔女

シーンPL:【力持ち】
他のPCの登場:可
開始条件:仕事が膨大で疲れて気が遠くなってきた頃
終了条件:魔女がいなくなったら

見慣れぬ老婆が現れる。

「大変かね?あの親父さんもひどい人だねえ。憎いかね?(ひひ)」


「いいことを教えてやろう」


「もうすぐ“神の火”が、この地に落ちる」


「町は大変な惨事になるじゃろう。そして」


「おまえの雇い人夫婦たちも死ぬ。」


「どうじゃ?嬉しいか?」老婆は笑う


気が付くと老婆の姿は消えている


うまく追っかけた場合

老婆が大人の男でもあれほどは速く走れまいというほどの恐るべき脚力で、脱兎のごとく森の方角に走り去るのが見える(*1)。

…そして、そのまま見失ってしまった

(*1)…正気度チェック(笑)(1/1D6)


07.悪童ども

シーンPL:【狂った女の子供】
他のPCの登場:可
開始条件:キーパーの任意
終了条件:町のガキどもとの決着が付いたら

オーベルト(領主の子供)と彼が率いるガキどもが現れ【狂った女の子供】の前にでんと立ちふさがる。

「よう、【狂った女の子供】。おまえ、修道院に来たあの頭のおかしな女の子供だって?」

彼らはゲラゲラ笑う。


「前々から臭いにおいのぷんぷんするいけ好かない奴だと思っていたが、やっぱりな」
「頭のおかしい奴はにおいも移るって言うよ。ああ、くせえーくせえー。」

と言って鼻をつまむゼスチャーをする

他のPCも一緒にいた場合

「おまえもそんな臭い奴といっしょにいるとにおいが移るぞ」

くんくんにおいをかいで

「くさっ。もうくさってやがるっ」

手をひらひら振りつつゲラゲラ笑う

あとは適当にいちゃもんを付けて喧嘩をふっかけること。タコ殴りにされて判定省略する場合はダメージ1D6を適用する。(まじめに戦っても良いが、死亡しない程度に)

【狂った女の子供】がうまく逃げ出すか、あるいはガキどもを撃退するか(2〜3回攻撃成功すれば泣いて逃げ始める)、PCがガキどもにつかまってタコ殴りになったらそこでシーンを切る。


08.図書室

シーンPL:修道院の図書室で情報集めをすると言ったPL
他のPCの登場:可
開始条件:キーパーの任意
終了条件:情報を得たら

図書室で情報集めをすることができる。半日について1回「図書館」で判定すること。以下の情報はPLが自発的に以下の情報を調べたいと言った時のみ公開する。PLから提案がない場合は公開しなくて良い。

<情報1:子牛のスープについて>

旧約聖書の第5章に、子牛とその親のミルクとをいっしょに食べ合わせてはいけないという逸話について書いてある。

<情報2:“神の火”について>

2年ほど前に近隣の町に空から光るものが落ちてきたという記録がある。
そうしてその町は滅んだという話である。

09.修道士ラトボドウの日記

シーンPL:修道士ラトボドウの日記を調べてみると言ったPL
他のPCの登場:可
開始条件:キーパーの任意
終了条件:情報を得たら

 ラトボドウが出かけたあとに自室を調べるか、あるいは図書館で置き忘れたのを発見する、など。

 あの女性の正体が何者であるのか?彼女と話を試みたが、彼女は歌うばかりで何もわからなかった。それにあの奇妙な歌。あのような旋法はどこの本にも書かれていない。それにあの歌詞。昔旅をした西方の蛮族の言葉に似ているように感じる。胸に着けている十字架に似た見たこともない首飾り。何かまがまがしいものを感じる。


 いい手を思いついた。以前、旅の商人に聞いた話だ。

 しかしあれを律儀に守る人間がいるなどというのはありえることなのだろうか?本当に彼女は拒むだろうか?もしそうならこれまでわからなかったことがすべて納得行くように思われる。

 問題は、もしそうならどう対処すべきかである。教会の教えとは言え、ためらわれる。何か不幸があっておかしくなってしまった、ただの哀れな女性としか見えない。慈悲を示す道はないのであろうか?


10.神の火

シーンPL:全員
他のPCの登場:−
開始条件:あくる夜
終了条件:PCたちが助かったら。あるいは死亡したら

その夜、PCたちはどこで何をしているか、個別に確認すること。
夜空を見ることができるPCは「目星」で判定すること。成功したら以下を読む。

ぞっとするほど綺麗な、星空の夜だった。
ふと、空に見たことのない小さな星が光っているのに気付いた(*1)。
…と思うまもなく

ドーン!

と雷が落ちたときのような恐ろしい耳を聾する音がし、目の前の建物が炎に包まれ、その壁があなたに向かって倒れてくる。。

(*1)…さらに「目星」で判定して成功すると何か黒い細長い影のようなものが火を吹きながら多数町に振ってくるのがわかる。正気度チェック0/1D3。

「回避」判定。失敗した場合は1D3ダメージ。

そこらじゅうの家々が炎を上げており、あの修道院も炎に包まれ燃え盛っているのが見える。

町のそこかしこで大騒ぎになり、怒声が響く。

ここで各PCがどのようなアクションをするか確認すること。
ここで重要なポイントは以下。

1.PCはマチルダを助けに行くかどうか?
2.PCは【力持ち】の雇い人夫婦を助けに行くかどうか?

助けに行かなかった場合はどちらも火事で死亡することになる。


10-1.雇い人夫婦の救出

シーンPL:雇い人夫婦を助けに行くと言ったPL
他のPCの登場:可
開始条件:助けに行くと言ったら
終了条件:切りが付いたら

 妻の方は駆けつけたときには死亡している。親父の方は妻の名を呼びながらわめいているが、梁に押しつぶされて動くことが出来ない。

 火に包まれ、崩れかけた建物に潜入したらCON×5の判定を行う。失敗した場合は煙に咳き込んで1ダメージ。
 梁に押しつぶされた親父さんを助けるにはSTR×5の判定に成功する必要がある。


10-2.マチルダの救出

シーンPL:マチルダを助けに行くと言ったPL
他のPCの登場:可
開始条件:助けに行くと言ったら
終了条件:切りが付いたら

 修道院に潜入する手順は以下。マチルダは修道院の地下室でいつもどおり歌を歌っている。

<1>入り口〜地下への階段の前
 CON×5で判定する。失敗した場合は咳き込んで1ダメージ。

<2>階段〜マチルダの部屋
 CON×5で判定する。失敗した場合は咳き込んで1ダメージ。

<3>マチルダに外へ出るよう誘導
 素直に従ってくれます。

<4>地下〜出口
 CON×4で判定する。失敗した場合は咳き込んで1ダメージ。

<5>出口直前
 火事で燃えた材木がいっせいに落ちてくる。避けるには「回避」で判定。
 【狂った女の子供】がいる場合には、マチルダは必ずその子をかばおうとする。
 材木の下敷きになった人は1D6〜2D6ダメージ(適度に加減すべし)
 材木の下敷きになった人を助け出すにはSTR×5の判定で成功する必要がある。
 さらにCON×3で判定。失敗した場合咳き込んでさらに1ダメージ。

 以後、咳き込み判定はCON×2、CON×1と減少させていく。

 3ターン以内に助け出せない場合は修道院全体が崩れ始め生き埋めになる。
 (判定省略で死亡)

<6>助け出したあと
 「応急手当」で治療可能。うまくマチルダと【狂った女の子供】が助かると「よかったよかった」と【狂った女の子供】をマチルダは抱きしめる。

 誰か死んだり、全員が助かって落ち着いたらそこでシーンを切る。


〜次回予告〜

 あれから1週間の時が経過した。
 町はまだ破壊の爪あとは残っていたが、状況は落ち着いて活気を取り戻しつつあった。

 そんな時、町で集会が行われることになった。
 何でも、この恐るべき災厄をもたらした“裏切り者”に裁きを下すと言うのだ。

 “裏切り者”とはいったい誰なのか?
 そしてあなたたちはいったいどんな運命に見舞われるのか?

 クトゥルフ・ダーク・エイジ「サマータイム」第2回、「審判」

 時の狭間にあなたは何を見るのか?

つづく